日本敗戦史(43)「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕<ガラパゴス日本『死に至る病』②
2017/08/16
日本敗戦史(43)
「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕—
<ガラパゴス日本の『死に至る病』①>
3 開戦決定のいきさつは(以下は私の見方を書いている)
ここで本日のNHKスペシャル『日本はなぜ戦争へとむかったのかー開戦決定の驚きの真相、迷走する指導者たち』が指摘した、戦前の軍、政治家トップの証言は敗戦の結果が判明してからの自己弁明、手前ミソ、自分の都合のよい証言が多いので、信用はあまりできなないし、ドキュメンタリー出来も余り良くないが、連綿と続く『日本病』『オウンゴール国家日本』の正体を指摘している点はいい。
民主党政権の迷走ぶりとウリ二つのである。というよりも、日本のリーダーシップの遺伝的な病理、統治システムの欠陥が戦後もそのまま引き継がれている事を示している。
①リーダーシップとリーダーパワーの不在、各首相も昭和天皇も最終的な決定権はなく誰も望んでいない開戦に押し流されていった。この典型的な無責任国家は今も続いている。
②大本営連絡会議(国家最高方針会議)でも全会一致が原則で1人でも反対する両論併記、各論併記して1本化できない結論となる。そして結論延期、問題先送りの繰り返し。
③このため、大方針が決まらないので,勝手バラバラに陸軍はロシアを攻める(北方進出)、海軍は南方の石油地帯を占領する(南方進出)、企画院は確実なデータ―に基づかない、希望的な観測、勝算見込みありの水増し数字を報告する。
(財務省、農水省、国土省などが手前ミソな省益優先の数字の数字ばかりを発表しているのと同じ)
④米国の出方を自国の論理で希望的な観測で判断する。仏印進駐)で石油の禁輸、全面禁輸などの強硬措置はとらないであろうと根拠のない期待をしたように。(現在の国債は自国で95%以上消化しているので、外国勢から売り浴びせられないという反論がこれ)
⑤問題先送り、ぎりぎりまで決断せず、状況がますます悪化して、最後に見切り発車して、望まない開戦に突入してしまう(格付け低下で今の国債金利が1%も上がれば、デフォルトは間違いない)
⑥ リーダーが早期に判断して、意見をまとめて、反対する相手も説得して、断固実行する気概がなかった。総理大臣が2、3人殺されても、大陸から陸軍を戦争をさける勇気の欠如。天皇も同じ(これは現在の小物政治家に望むべきもない)
以上、戦略のない戦争、外交の分裂、関東軍の謀略、錯誤、誤判断、軍部の見通しをあやまった判断と暴走の連続、真珠湾攻撃など緒戦の勝利をあとは見るも無惨な連続敗北、玉砕に次ぐ玉砕、戦争末期には自殺兵器の特攻隊「カミカゼ」による常軌を逸した作戦に熱中した。
1935年(昭和10)に右翼が『天皇機関説』という言葉は不敬に当たるとして、美濃部達吉が糾弾され問題となったが、当時の天皇制国家日本機関車(国体)の本質は車輪部分の陸軍、海軍は一致協力せず、バラバラに別方向に回転して暴走が止まらなくなったのに、運転席の政府は危険を察知して軌道修正、ブレーキをかけられず、アクセルを逆に踏み続け、『統帥権を持つ』天皇も、実際には統帥、作戦に介入はできず、追認するだけの大元帥であり、警笛役の新聞、マスコミも警笛を鳴らさず、『イケイケ、どんどん』の暴走情報を垂れ流す。
肝腎の乗客席の国民には窓が全部閉め切られた密閉状態に置かれ、世界の様子を見えなくされているため、場内アナウンスの「勝った」「勝った」の『大本営発表』の情報しか聞かされていない状況なのである。
この「暴走機関車日本号」がアジア、中国、太平洋地域で暴走を続けて最終的に全面脱線転覆破裂破壊して空前の死傷者、被害をだしてやっとストップしたのが「終戦の日」なのである。
泥縄式、戦争目的のない開戦だった事、出たとこ勝負の開戦だった事は次の開戦までの経緯を見れば良くわかる。
真珠湾攻撃の三ヵ月前、初めて国策として日米戦争が決定された。
昭和十六年(一九四一)九月六日の第三次近衛内閣の御前会議で、「日本は自存自衛のため、十月下旬をメドに、戦争準備を完整する。十月上旬に至っても外交交渉のメドが立たない場合は開戦を決意する」との方針を決めた。
この二ヵ月前には米国は在米の日本資産を凍結し、石油禁輸を断行。これに対して日本軍は英米戦を辞せずと強硬方針のもとに南部仏印(ベトナム)へ上陸を強行し、アメリカ、イギリス・オランダは対抗措置として「ABCD包囲網」をしき、一触即発の危機にエスカレートしていた。
何とか日米外交を打開したい近衛文麿首相はルーズベルト米大統領との首脳会談を申し込んでいたが、米側は「中国からの撤退」を要求し、開催の見込みはなかった。石油の輸入途絶がこのままつづけばあと一年で底をつく状態となった。
「戦争か、外交か‥」
行き詰った近衛文麿首相は十月十二日、荻窪の私邸に豊田貞次郎外相、東條英機陸相、及川古志郎海相を招き、荻外荘会談を開いた。戦争に反対の及川海相は、和戦の決を総理に一任する態度を示したが、肝心の近衛は「戦争は私には自信がない。
自信のある人にやってもらいたい」と発言、「戦争に自信がないとは何ごとですか。御前会議の決定変更はできない」と東條は怒り、話し合いは決裂。責任の押しっけ合いが始まった。十月十四日、定例閣議の直前、近衛は再度念押ししたが、東條は「撤兵は絶対にしない」と答え、「人間、たまには清水の舞台から目をつむって飛び降りることも必要だ」と優柔不断に終始する近衛を皮肉った。
閣議でも東條は「撤兵問題は心臓だ。……米国の主張にそのまま服したら支那事変の成果が壊滅する。満州国をも危くする」と断固反対を主張。「御前会議(九月六日)の決定をくつがえすためには、総辞職して宮様の東久邇宮稔彦内閣を作るしかない」とその夜、使者を立てて近衛に伝言した。
十六日朝、近衛は「自ら総辞職し、東久邇内閣へバトンタッチする」と木戸幸一内大臣、天皇に打診するが、木戸から「戦争になったとき皇族に責任を負わせることになり、結果によっては皇室が国民の怨府となる恐れがある」と一蹴され、近衛は万策尽き果てて、夕方、政権を投げ出した。
組閣の大命下る
東條は自分が後継首班になるとは予想だにしなかった。近衛内閣を倒した責任者は自分であり、政府と統帥部がすでに決定した御前会議の「帝国国策遂行要領」を、統帥部の強い反対を押し切って変更するには皇族内閣しかない、と東久邇宮を強く推薦していたからだ。
十七日朝から引越し準備をしていると、午後、杉山元参謀総長と懇談中の東條に宮中からお召しがあった。天皇から叱責されるな、と思った東條は総辞職の原因となった陸軍の資料を整えて参内した。思いがけず組閣の大命が下った。「
天皇は「しばらく及川海相も呼んであるので、木戸と三人でよく相談して組閣したらよい」と言葉をかけた。東條は足がふるえて何が何だかわからなくなった。
木戸内大臣からは「九月六日の御前会議の決定を白紙に戻すように……」との天皇の意思も告げられた。陸相官邸に戻った東條は依然としてふるえっづけ、頬を休みなくけいれんさせていた、という。
十七日夕刻、組閣の大命は東條陸相に降下し、翌十八日東條内閣が成立したのである。
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