池田龍夫のマスコミ時評(122)「積極的平和主義」が目指す方向を危惧 軍事援助(2/17)「核のゴミ」処分に積極的な姿勢を(2/23)
池田龍夫のマスコミ時評(122)
品格に欠ける安倍首相のヤジ(2/25)
相席からヤジを飛ばした安倍首相の傲岸不遜さに驚かされた。先日の衆院予算委員会、砂糖業界団体の西川農水相への寄付行為につき、民主党の玉木雄一郎議員が「脱法献金と言わざるを得ない」と追及したところ、首相が「日教組をどうするの、日教組!」と自席
から怒鳴った。大島理森予算委員長から「総理、もうちょっと静かに」とたしなめられる場面が、NHKやネットでもナマ中継されてしまった。
「日教組だって上納金をもらっているだろう」と言いたかったようだが、行政府の長として、まことに品格に欠けるヤジではないか。民主党からの抗議を受け、翌日「今後は静かな討論を心がけたい」と謝ったようだが、お粗末な話である。
安倍首相の言動は、エキセントリックで物議をかもすことが多い。ニュースが瞬時に飛び交う時代、国際的にも恥ずかしいことだ。
「核のゴミ」処分に積極的な姿勢を(2/23)
「核のゴミ」(原発で燃やした使用済み核燃料)をどう処分するか、深刻な事態になってきた。日本国内で約1万7000㌧も溜まっているのに、政府の処分方針すら定まっていない。
最終蔡州処分場が決定しているのは、フィンランドとスウェーデン2国だけ。先行したのはフィンランドのオンカロ処分場で、2004年から建設が進められ、2022年から燃料の埋設が始まる。2100年ごろまで埋設を続け、その後は、坑道と入口を閉ざし密閉してしまう予定だ。地層は主に花崗岩で、使用済み核燃料は地下455㍍より下に埋められる。核廃棄物の完全な無害化には、10万年かかるという。
経済産業省が2月17日、核のゴミ廃棄処分場の選定基準づくりに乗り出したものの、候補地選定はいぜん難航。一方、日本学術会議も17日「原則50年間地上保管、将来的には地層処分」の政策提言をまとめたが、国民の合意形成に時間がかかり、各国とも対応に苦慮している。
いずれにせよ、次の世代に難題を残さざるを得ない「核のゴミ」政策に、各国の連帯・協力が要請される所以である。
「積極的平和主義」が目指す方向を危惧 軍事援助(2/17)
安倍晋三内閣は2月10日、政府の開発途上国援助(ODA)基本方針を示したODA開発大綱に代わる「開発協力大綱」を閣議決定した。他国軍への非軍事援助も踏み込んだ大転換である。
具体的には、これまで禁じてきた他国軍への直接支援を、「民生目的、災害救助など非軍事目的」に限って認めた。さらに、ODAを通じて「我が国の平和と安全の維持,繁栄の実現とも明記。「国益」という言葉も初めて使用している。先に武器輸出を一定の要件のもとで認める新3原則への変更に続く 踏み込んだ決定と言えるだろう。
これが安倍政権の「積極的平和主義」が目指す方針に違いない。「戦場に自衛隊を派遣するわけでなく、後方支援に特化するのだから問題はない」と、簡単に述べているが、恐るべき話ではないか。
「戦場」の修羅場に、前方・後方の区別が成り立つはずがない。食糧・弾丸の補給路を断たれれば、敗戦となる。首相は「あらゆる事態に切れ目のない対応可能とすることが重要だ」と強弁しているが、積極的平和主義の根本理念であろう。
〝安倍造語〟は、世界に通用しまい
長谷部恭男早大教授は、杉田敦法大教授との「考論」(朝日新聞2月8日朝刊)で『積極的平和主義』を直訳すれば『PROACTIVE PACIFISM』。右の頬を打たれたら左の頬を出すという『PACIFISM』に、事前に『PROACTIVE』がかぶるので、日本は、打たれる前に頬を出すのかと外国人は苦しむのでは。
外務省は『PROACTIVE CONTIBUTOR TO PECE』(平和への積極的貢献)と訳しているが、分かりにくい上に本来の平和主義とは距離がある』と指摘、〝首相造語〟が国外に通じるのかとの疑問を呈していた。
タイで邦人救出作戦に乗り出す
この政府の方針に従い、自衛隊は紛争地域からの邦人救出作戦を試みている。既に、国内の離島で奪還作戦を行っていることは知っていたが、自衛隊員をタイに派遣し、2月15日から 同国中部のウタバオ海軍航空基地での訓練に乗り出したとのニュースに驚かされた。日米タイ3カ国が参加、震度7の地震が起きて都市機能がマヒし、混乱に乗じて反政府デモが起きたという想定だ。現地駐在大使館員まで乗せた救出作戦だったという。
安倍政権の海外派遣熱の高揚が現実味を帯びてきて、成り行きが極めて心配である。
池田龍夫(いけだ・たつお),ジャーナリスト、毎日OB)
関連記事
-
『Z世代のための<憲政の神様・尾崎咢堂の語る<日本史上最大の英雄・西郷隆盛を理解する方法論>の講義⑯』★日本リーダーパワー史(84)尾崎行雄の傑作人物評―『西郷隆盛はどこが偉かったのか』★『リーダーシップは力より徳にある>』
2010/08/09 日本リー …
-
『オンライン講座/独学/独創力/創造力の研究⑦』★『エジソンの発明精神を学ぶ』➂『エジソンの人種偏見のない、リベラルな性格で、日本人を愛した』★『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの全知全能力を傾けた努力の結果であるならば』★『「未来へのビジョンを持つ、将来に信仰を持ちなさい、前進しなさい」 』
2018/11/23 百歳学入門(96)再録 「史上最高の …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(123)/記事再録★『ニューヨークタイムズが報道した日韓150年戦争史』☆1895(明治28)年1月20日付『ニューヨーク・タイムズ』 ー 『朝鮮の暴動激化―東学党,各地の村で放火,住民殺害,税務官ら焼き殺される。朝鮮王朝が行政改革を行えば日本は反乱鎮圧にあたる見込』(ソウル(朝鮮)12/12)
2019/07/04   …
-
●『徳川封建時代をチェンジして、近代日本を開国した日本史最大の革命家・政治家は一体だれでしょうか講座④『西郷隆盛の即断即決のリーダーシップ➂』『山県有朋が恐る恐る相談すると、西郷は言下に「至極、結構なこと」と了解し、断固実行した」(徳富蘇峰『近世日本国民史』(明治の三傑))
2012-03-24 /日本リーダーパワー史(246)記事再録 & …
-
百歳学入門(188)★『日野原重明先生(105歳)』★『92歳の時の毎日の生活ぶりだが、そのエネルギーと分刻みの緻密なスケジュールと仕事ぶりはまさに超人的!』
百歳学入門(188) 日野原重明(1911-2017、105歳) https:/ …
-
人気記事再録/日本天才奇人伝②「国会開設、議会主義の理論を紹介した日本最初の民主主義者・中江兆民―②<その眼中には、国家のほかは何ものも影じない。兆民は伊藤博文、大隈重信ら元老連をコテンパンに罵倒す>
前坂 俊之(ジャーナリスト) …
-
速報(412)『 FT紙のミュア・ディッキー前東京支局長の日本サヨナラ講演(動画)』『竹中平蔵、アベノミクスを語る』
速報(412)『日本のメルトダウン』 &n …
-
『Z世代のための日本戦争学講座①』★『今日(2024/12/08)は80年前の真珠湾攻撃(太平洋戦争開始)をした日で、この4年後に日本は敗戦・亡国した』★『日米戦争反対論者の山本五十六連合艦隊司令長官はなぜ開戦に踏み切ったのか?」★『当時の日本の政治、軍事、社会情勢が戦争に流されていった状況を振り返る』
2010/06/27 & …
-
速報(13)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める!原子力安全委員長の無責任発言と『今後は神のみぞ知る』
速報(13)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める! 原子力安全委員長の …
-
速報「日本のメルトダウン」(487)「新しい日中関係を考える研究者の会」日本記者クラブ動画会見」「習主席、多国籍企業トップ称賛
速報「日本のメルトダウン」(487) &nb …