『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑲ 朝鮮・巨文島事件めぐる英国、清国、ロシアの紛争
2015/01/01
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』
日中韓のパーセプションギャップの研究』 ⑲
日中150年戦争のルーツは中国が冊封体制によって属国としていた
『琉球王朝』(日中両方に朝貢していた)を明治維新
後に一方的に「琉球処分」して、日本が沖縄県に編入したことが
対立の発火点なのである。
これが「壬午事変」(明治15年)「甲申事変」
(明治17年)とエスカレートして、「日清戦争」(明治27年)へと爆発する。
この三国関係の外円には西欧列強の英国、フランス、ロシア,アメリカ、ドイツ
が加わって中国、日本、朝鮮をターゲットに19世紀の帝国主義的領土、
経済利権の分捕り合戦、戦争が繰り広げられた。
ロシアは不凍港を求めて、朝鮮に南下政策を強行しており、巨文島を狙った。
英国は待ったをかけて、いち早く占領し、ロシアの南下を阻止した。
結局、ロシアの朝鮮支配に危機感をもった日本が最終的に防衛戦争として
『日露戦争』に踏み切ったというのが正解である。
巨文島をめぐる軍事紛争を見ていると、130年たった現在の北朝鮮を
めぐる危機、
東アジアのバルカン半島がまさしく朝鮮半島なのである。
朝鮮で起きた反乱(甲申事変)は,
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E7%94%B3%E6%94%BF%E5%A4%89
巨文島事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A8%E6%96%87%E5%B3%B6
1885(明治18)年7月2日光緒11年乙酉5月20日「申報」
朝鮮・巨文島事件めぐる英国、清国、ロシアの紛争
先に天津の西洋人からの手紙の伝えるところとして次のことを報じた。「前イギリス公使バークスの意向は,中国と結び,朝鮮の海島をイギリスの屯兵地とし借用しようというものだったと見られる。
両国が盟約すればインドはロシアの脅威を逃れ得るし.中国もロシアを恐れずに済む。また.シャムとも連合して態勢をより強化する。日本もロシアの侵略目標であり.中国と連合してこそ,その野心から逃れ得る。4国間の交わりが強化されれば,ロシアもなすすべ術がなくなろうという読みだ。パークスは志をとげぬまま病没したが,現在総税務司ハートが公使となったので,この問題も成功間違いないだろう」。また次のようにも
述べている。
「伝えられるところによれば,朝鮮の巨文鳥は.イギリスが中国と協議した上で占有したものだが,ロシアはこれにより,朝鮮に使節を遣わして軍事拠点たるべき一島を求めているという。もし朝鮮が承諾しなければ.ロシアはイギリスの巨文鳥独占を阻止しようと行動すると見られる。またドイツ,アメリカの2国も朝鮮の島を求めるだろう」。
とすれば,イギリスが朝鮮の島を借用するにあたり,中国は
これを関知し.かつまた許可していたのであり.イギリスが不当に他国領土を奪ったわけではない。ロシアは朝鮮を狙っており.どの土地であれ強奪し得る力を持っている。中国にはロシアの要求をはねつける力量はない。ここにイギリスが控えていると,ロシアもちゅうちょせざるを得ず,朝鮮情勢は安定することになる。中国は最近日本と条約を結び,両国とも朝鮮から撤兵し,将来朝鮮で変乱が発生した際,派兵して援助しようとするならば.両国が文書を送って了解が成った上で行わねばならない.とした。
これはフランスがヴェトナムとの関係において,中国がヴェトナムの自主を許し,単に旧例どおり貢物を受けるにとどまることを撃んでいることと同様だ。これについては本紙ですでに論じた。
私が疑うに.なにゆえ当局の大官は日本の要求を受け入れ,一旦にして座して属国を失うような挙に出たのだろうか。現在イギリスは島を占有しているが,事前に中国と商議したことから見て,明らかにイギリスは朝鮮が本来中国の藩属国であり,古来動かしがたい名分があることを認めている。日本人はこれを知ってもいかんともしがたいのだ。
私が
思うに,イギリスが中国と商議せず,朝鮮政府にも説明せず,突如軍艦8.9隻を東方へ派遣して停泊し,兵を上陸させ砲台を建設し要害を押さえ厳重に防備し,他人の土地を私物化するというような非道を行うといった事態は.近来信義を講じ友好を重んじているイギリスである以上,引き起こすはずはない。先にメーレンドルフが朝鮮王の命によって海路現地へ赴き,イギリスの将校に対し占拠の意図を問いただしたところ,将校は海軍の司令長官に面会するよう求めた。
そこで長崎まで足を延ばし.提督に面談して尋ねてみたが,やはりひと言も答えなかった。おそらく中国が協議の上承認したことをメーレンドルフには明言できないし.また朝鮮王にも知られたくはなかったためだろう。
顧みて私が思うに,この協議のおかげで中国は日本の妨害を恐れずに将来とも朝鮮を属国として保護し続けることが可能になったのだ。朝鮮には失地の辱があろうが,イギリスはあくまでも軍事拠点としての借用だと言明している。
もし両国が不幸にも交戦することになれば,戦闘は直ちには終結し得ないだろう。この島はやはりイギリスに常駐して守ってもらう必要があり,また結局それはあくまでも借用に過ぎないのだ。しかも朝鮮の気風は質朴であり,人民は少なく財力は豊かとは言えない。巨文島は土地が広く,2つの島が連接し海洋が湾入し天然の良港となっている。住民は1000戸余りと少なく,開墾に励んでも成果は限られている。イギリスは軍を常駐させる計画だから,努めて開発を行い,屯兵のために耕地を開くだろう。
とすれば島内の諸施策により,島民もまたその恩恵を受けることになる。このように朝鮮にとって益をもたらす可能性があるのだ。また伝えられるところでは,イギリスは先に資を出してこの島を買収したともいう。
とすればイギリスが現地に腰を下ろすのは.朝軌ことって損失ではなく,中国にも益をもたらすのだ。朝鮮が土地を失うとして問題視する人々は、まことに時勢の大局をわきまえぬものとしか言いようがない。
中国の属国保有の権は近年釆若干弱体化している。フランスはすでにヴェトナム全土を睾超しており.その地が広東雲南と
隣接しているため.軋轢が生じやすい。
また日本は朝鮮に関して,つい先だってわが国に撤兵を強要してきた。彼らの陰謀詭計はきわまりなく,とてもそのすべてを熟知して十全に防止することは不可能だ。いったん事あらば,浮足立ったあげくに先手を打たれて受身の態勢に立たされてしまうだろう。
現在幸いにもイギリスはロシアを防ごうとし.しかも事前に中国と協議を行っている。まことに得がたい味方ではないか。
またアメリカ.ドイツの2回も朝鮮の島を求めている。こうして欧米の国々が力を合わせてロシアを防ぐならば,アジアの安
全は保証されることになる。
朝鮮は土地の広がり2000里,3方を海に囲まれ数多くの島嶼を有する。そのうち何島かを各国に貸与したところで,なんらさしつかえはあるまい。
イギリスと中国が朝鮮防衛を協議したにもかかわらず,朝鮮は突如ロシアと6か条の条約を結んだ。その主導者はメーレンドルフだ。協約の全文はつまびらかではないが,伝えられるところでは,朝鮮の近衛兵部隊をロシアの軍人に訓練させ,また軍用道路をロシアの幹線道路と連結させるというもので,大いにロシアを益する結果となる。
また朝鮮は●(王へんに軍)春地区に領事館を設立し,豆満江の河道には舟運を開き,また朝鮮の電信線は●(王へんに軍)春およびロシアの各要所に直結させるという。これらの状況が本当なら.領事館設立は●(王へんに軍)春在の朝鮮人の益とはなろうが,その他の面ではすべてロシアを益し,朝鮮には不利益となるはずだ。また特に近衛兵部隊の訓練委託は,李相と伊藤公使が結んだ中日条約に背くものだ。
おそらく日本も自国人に朝鮮軍を訓練させようと意図していただろう。それが今突如としてロシア軍人に依頼するということになると,日本が抗議を申し立てないはずがない。
朝鮮王は一昨年の保守派の乱以来,内政の改善に励み,一切の政務について中国の裁可を仰ぎ,積年の脆弱なる国力がようやく振興しようとする兆が見えっっあったところだ。それにもかかわらず甘言に乗せられて日本に追従したため,内部紛争が発生し,洪英極の乱が起きるに至ったのだ。その後いくばくもしないうちに今度は遠方の強国ロシアと結び,近隣の日本に背き,勝手に和約を結んで報告もしない。
その定見なき右往左往の醜態と,朝令暮改の有様からは,国家振興の気迫はみじんも感じられない。
今後もし中英が連合してロシアを防ぎ.朝鮮の方はロシアを引き込んで中英に弓を引くならば,それは必ずや衛により邪が滅んだ結果,かえって衛が遷都せざるを得なくなったような結果を招こう。有識の士が大いに危惧の念を抱くところだ。
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