速報(262)★3・11から1年ー『孤立無援の中で警鐘を鳴らした河野太郎の危機のリーダーシップ
速報(262)『日本のメルトダウン』
<日本の政治家の中で、唯一、原発政策に疑問を発してきた政治家は誰なのか>
★3・11から1年『孤立無援の中で原発推進に警鐘を鳴ら
してきた河野太郎が政治とメディアの責任を問う
してきた河野太郎が政治とメディアの責任を問う
前坂 俊之(ジャーナリスト)
国難の危機には必ず新たなリーダーが現れものである。しかし、福島事故から丸1年たった現在でも、日本の政治の混乱、混迷は一層ひどくなっている。
原発をどうするのか、エネルギー政策をどうするのかについても、相変わらず原子力村よりの審議会に丸投げで、決断できない、決定できない、行動がスローも―で遅すぎる。居心地のいい永田村で空疎な小田原評定を続けている。無責任、責任のがれ、自己責任には一切触れない、不勉強、腰ぬけぶりである。メディアで堂々と説明、議論するステイトメン(国士、真の政治家)は数少ない・・・など、国民の期待は裏切られぱなっしだ。
国民はその不満とニューリーダー待望論から、橋下グループへの人気が急上昇している。自民党の河野太郎についてはすでに、メディアでもネットでも、その警世論客ぶりでウナギ登りの評価だが、孤立無援ながら、節を曲げず一貫したその姿勢は危機のリーダーの素質十二分である。
今年2月1日、第25回毎日新聞社編集綱領制定記念のつどい「メディアは何を伝えたか~検証・原発事故報道」(毎日労組など主催)での自民党・河野太郎議員の発言をあらためて紹介する。
<福島原発事故「メディアは何を伝えたか~検証・原発事故報道シンポ①>
<自民党の原子力政策の責任について>
【河野】
今回の福島の原発事故の対応をしたのは民主党政権ですが、そこまでこの体制を作ってきたのは自民党だと思うんですね。自民党が最初に原子力を始めた時には、エネルギー危機にどう対応するんだとまじめにやってきたと思うんですが、明らかにどこかの段階でそれが変質して、利権になってきた。核燃料サイクルもいろんなところで問題があるんだけれども、それを見ないで突っ込んだというのは自民党として反省しなきゃいかんと思います。
事故の直後にそこまでの報道といっても無理だと思うんですが、事故がひと段落してから、何で間違っているのか薄々みんな分かっているにもかかわらず、電力会社ですら再処理はやめなければいけないという話を02年から04年に
かけてやっていながら、やっぱり再処理工場稼働に突っ込んだ政府の意思決定について、検証しなければいけない。
今、自民党も特命委員会でその検証をやるかやらないかでもめていますが、むしろ、メディアの方も一体全体、なぜそのまま検証されずに来てしまったのかというところを、もう少し突っ込む必要はある。
要するに、原子力の報道というのは問題が二つあって、一つは現場を知らない記者がどう現場に突っ込んでいくかということと、もう一つは政策を止められなかった。50年の歳月をかけて何兆円のお金をつぎ込んで、この状況であと40年は高速増殖炉「もんじゅ」はできませんという。明らかにおかしいだろうと誰もが思っているものが全然報道されない。
事故が起きていろいろなところで講演するのですが、「核燃料サイクルは使用済み核燃料、再処理、プルトニウム、高速増殖炉、どこをとってもつじつまが合わない状況になっています」と言うとみんなびっくりする。それが報道さ
れてこなかったし、自民党の政治家ですらそんなことを知らずに「原発がないと電気が足りない」といまだに能天気に言ってる方が結構いる。だから、なぜこういう状況になったかという検証をぜひマスコミにはしてほしい。
まず政治がなぜ間違ったかという一番の幹に切り込んでもらわないとだめなんじゃないかなと思っています。
<原発反対派はすべて左翼と誤解!>
【河野】
自民党の中には、原子力に疑問を呈する人はみんな左翼という思い込みがある。中国電力の上関原発(山口県上関町)にずっと反対している祝島のおばあちゃんたちがいます。あそこは元々、(元首相の)岸信介さんが公職追放された時に住んでいて、かつては自民党得票率が9割というところなんです。
私が行ったら、何十年ぶりに自民党の国会議員が来たというので、村を挙げて歓迎してくれたんです。しかし、東京に戻ってきたら、「おまえ、革マルと中核派を連れて反対運動しに行ったらしいな」と言われ、執行部からは「河野太郎を査問しろ」という話がありました。「そんなことできないよね」とある副幹事長が言ってくれて、沙汰止みになったんですが、それが2月です。
3月に事故があったんですが、結局、底流はそういうことで、それはやっぱり古い人ほどそこが強い。結局、「何か(原発の反対論を)育っている人は、一時の事故の流れでそう育っているのであって、おれたちは、それを間違わないようにしなければ」と思っているようです。私からいわせれば「あなた方がずれている」と思うのですが、その思い込みはどこから来るかというと、やっぱり、完全に知識のなさなんだと思うんです。
3月に事故があったんですが、結局、底流はそういうことで、それはやっぱり古い人ほどそこが強い。結局、「何か(原発の反対論を)育っている人は、一時の事故の流れでそう育っているのであって、おれたちは、それを間違わないようにしなければ」と思っているようです。私からいわせれば「あなた方がずれている」と思うのですが、その思い込みはどこから来るかというと、やっぱり、完全に知識のなさなんだと思うんです。
「原子力は国のため。原子力がないと電気が足りない。石油に何かあったら原子力でやるしかない」という程度の人がやっぱりいる。「いやいや、そうじゃないでしょ」「一つずつ詰めていったら、どうなんですか」というのがないんだと思うんです。それが永田町と現地の差になっているんじゃないかと思うんです。
割と若手で熱心に情報を集めている議員ほど、「やっぱりこれはおかしいよね」 「ここは見直さなければだめだよね」というふうに同じ自民党の中でもなっているので、そこは大分差が出ている気がします。
割と若手で熱心に情報を集めている議員ほど、「やっぱりこれはおかしいよね」 「ここは見直さなければだめだよね」というふうに同じ自民党の中でもなっているので、そこは大分差が出ている気がします。
Q 河野さん=マスコミ世論と実際の政策には、やはりギャップがあるのでしょうか。
【河野】
3・11までは、私は自民党の中ではほとんど孤立無援という状況でしたが、事故が起きて、みんなある程度真剣に考えるようになってきたんだと思います。それは、どちらかというと、若い議員が今まであまり原子力のことを考えていなかったけれども、事故を見て、これではいけないと患っていろいろ調べてみたら、やっぱり、河野太郎は変わっているだけではなくて、まともなことも若干入っていたんだなというふうに思ってくれている。
ただ、ずっと(原子力推進を)やってきた先輩方には、「たまたま事故があったから、みんなリアクションでこっち(脱原発)に行っているだけ。
ただ、ずっと(原子力推進を)やってきた先輩方には、「たまたま事故があったから、みんなリアクションでこっち(脱原発)に行っているだけ。
だから、われわれが錨 (いかり)になって、それを止めなきゃいかん」みたいなことを亭っ人が非常に多い。なぜそうなのかというと、通産省出身だ、あ
るいは電力と関係が深いという経歴が一つ。もう一つは、決定的に知識がないんですね。
るいは電力と関係が深いという経歴が一つ。もう一つは、決定的に知識がないんですね。
知識がないものだから、要するに核燃料サイクルのどこにどんな問題があるかまったく知らずに、そこは電力会社に任せてしまっている。
私が問題だと思うのは、メディアから「再稼働をどう思いますか」というアンケートが来るんですね。だけど、アンケートは丸つけちゃえば済むんです。そこで記者が行って、「なんでそうなんですか、こういう問題はどう解決する
んですか」と詰めていくと、みんな立ち往生して、「じゃあ、これはつじっまが合わないじゃないですか」となった時に初めて、「あれ」ってことになるんだと思うんです。
私が問題だと思うのは、メディアから「再稼働をどう思いますか」というアンケートが来るんですね。だけど、アンケートは丸つけちゃえば済むんです。そこで記者が行って、「なんでそうなんですか、こういう問題はどう解決する
んですか」と詰めていくと、みんな立ち往生して、「じゃあ、これはつじっまが合わないじゃないですか」となった時に初めて、「あれ」ってことになるんだと思うんです。
アンケートというのはきわめて安易な手法で、誰でも逃げられる。今大事なのは、「実はあなた考えてませんね、知識がありませんね、もっと勉強しなかったら政策判断できませんね」ということを知らせなければいけない。
これから何を求められるかというと、囲い込んで逃げ場がないようにして、「どうなの」と聞いて、「この人は考えてませんね」 「この人はじっくり考えてこうなんですね」というのがちゃんと伝わるような取材と報道をやらないと、たぶん、世の中の流れと政治家は乖離(かいり)したまんまになってしまうんじゃないかな
と思います。(会場から拍手)これで、拍手をもらってもいいのかどうか。
①メディアの報道の姿勢
【河野太郎衆院議員】「福島」以前から原子力発電所の安全性というよりは核燃料サイクルについて、おかしいと言い続けてきましたが、ほとんどメディアも取り上げてくれませんでした。
そういう状況が事故が起きて一変し、ようやく東京電力などの電力業界に対して、メディアが物おじしないでいうことができるようになったのかなと思っています。ただ、十分だったかというと疑問が残ると思います。
テレビで見ている津波や福島の現場と、実際に現地に行った時の状況というのはやはり大きな違いがありました。例えば津波の現場へ行くと、極端に言えばご遺体などが放置されている状況がある。だけど、それがテレビで伝わる
かというと、実はあまり報道されなかった。あの凄惨な状況をそのままお茶の間に出すわけにもいかないだろうというテレビ局の判断があったのでしょう。それは新聞の写真もそうなんだと思います。
ですから、やっぱりそこに対して一歩引いて報道がスタートしたというところはあったかも知れません。逆にいうと、福島の現場というのは相当大変だったんだと思います。現場の作業員の方は想像を絶する状況で、事故直後から夏にかけて作業されたんだと思うのですが、そこがどこまで伝わったかなというのが一つ。
それから恐らく取材される記者さんも相当怖い状況で行ったんだと患います。その辺の大変さというのが逆に伝わってこなかったというところはあるかも知れません。
もう一つは、「大本営発表」がそのまま流れてきたというのがずいぶんあったと思います。私は自民党内で、海外メディアの取材を一手に引き受けて対応しましたが、質問の突っ込みが日本のメディアとはまるで違いました。海外のメ
ディアは、核燃サイクルについて「おかしい」と青い続けた私もたじたじとなるぐらい、どんどん突っ込んできます。
事故以前、マスコミは完全に原子カムラのスポークスマン
【河野】
事故以前、マスコミは完全に原子カムラのスポークスマンだったと思うんです。
一番強烈に感じたのは、2004年に、青森県六ヶ所村の再処理工場をいよいよ動かすかどうか、アクティブ試験をやるかどうか、やったら中が汚染されて引き返せないという時に、経産省の若手官僚が「19兆円の請求書」という文書を作りました。われわれも党内で「止めなければ」ということで、いろんなマスコミに声をかけたのですが、ほとんど取り上げてもらえませんでした。
あるテレビ局では、特集を組んで流したら、途中で電力会社から「スポンサーを降りるぞ」と言われて、特集の後半が流れないということがありました。また、あるFMラジオ局が「河野さん、45分間好きにしゃべってください」というので、「大丈夫ですか?」と言ってやらせてもらったら、案の定、その番組の担当者、みんな首が飛びかけたというようなこともありました。
音楽家の坂本龍一さんが「ストップロッカショ」というのをやったら、坂本さんの月1回のラジオ番組もほとんど中止寸前までいきました。このようなことが数限りなくあります。芸能人が何か言おうものなら、テレビからはとんど追放されるというようなこともありました。
だから、政府の中で議事録がない、早く議事録を作れという声がありますが、マスコミはまず、なぜ3・11まで報道ができなかったのか、誰がどういう経緯で止めたのか、調べて発表しなければいけないと思います。
朝日新聞の青森支局の人が「これ書きますから」って育ったのに「本社に栄転になって書けなくなりました」と電話がかかってきました。何年かたって、青森県版に再処理の話が結構出て、「おっ、やるな、できるじゃん」と思ったこともありましたが、3・11までは、事故があったら報道しても、核燃料サイクルがどうつながっているかは全くやらなかった。
みんな電力会社からの広告宣伝費は汚れている金だという認識はあったんだと思うんですね。だけど、その汚れたお金にみんな手を伸ばしました。確かに、自民党もたくさん政治献金をもらってます。
それはそれで報道していただいていいんですが、ではマスコミ各社もいくらもらったのかということを報道しなければならない。少なくとも3・11以降、電力会社や電力関連業界からの広告宣伝は自粛するというのが私は筋だと思うんですね。
しかし、いまだにテレビ局などは、ローカルニュースの枠は地域の電力会社に買ってもらっている。だから、東京のキー局もあんまり電力批判ができないという話を聞きました。やはりそれではマスコミの自浄能力が疑われると思います。
【河野】
世界とのギャップというのは相当あると思うんですね。というのは原子力ルネサンスだと騒いでいる時に、実はそんなものは起きていなかった。去年トルコに呼ばれて、原子力ルネサンスに福島の事故はどれくらい影響を及ぼしたんだろうという議論だったのですが、答えは「何も影響を及ぼしていない」。なぜなら原子力ルネサンスなんて最初からなかったというコンセンサスでした。
実はこの10年ほど、世の中はものすごい勢いで再生可能エネルギーに投資をしている。確か04年で5兆円、10年には25兆円規模で投資がされている。中国1カ国で10年に5兆円を超える投資をしているけれども、日本はいまだに再生可能エネルギーなんか入っていない。世界の情勢を見ないふりをして、原子カルネサンスという青葉にだけ飛びついていたというのが世界との大きなギャップだったと思います。
もう一つは決定的に政治家の知識がないということです。向こうのメディアの何が怖いかと振り返ってみると、「お前、当然こういう知識持ってその意見を育ってるんだろうな」とすごい勢いで突っ込まれる。その時に「知りません」なんて言おうものなら、「知らないでそんなこと言ってるの?」みたいな話になるんですね。日本の政治家というのは何となくそこはあまり細かく言わないで、原発がないと電気が足りないとか極めて大ざっばな話で、一つ一つのところを詰めるとほとんどみんな知らない。それで許されてきた。
実はこの10年ほど、世の中はものすごい勢いで再生可能エネルギーに投資をしている。確か04年で5兆円、10年には25兆円規模で投資がされている。中国1カ国で10年に5兆円を超える投資をしているけれども、日本はいまだに再生可能エネルギーなんか入っていない。世界の情勢を見ないふりをして、原子カルネサンスという青葉にだけ飛びついていたというのが世界との大きなギャップだったと思います。
もう一つは決定的に政治家の知識がないということです。向こうのメディアの何が怖いかと振り返ってみると、「お前、当然こういう知識持ってその意見を育ってるんだろうな」とすごい勢いで突っ込まれる。その時に「知りません」なんて言おうものなら、「知らないでそんなこと言ってるの?」みたいな話になるんですね。日本の政治家というのは何となくそこはあまり細かく言わないで、原発がないと電気が足りないとか極めて大ざっばな話で、一つ一つのところを詰めるとほとんどみんな知らない。それで許されてきた。
ところが海外は「何でそんな結論をお前はいうのか」とどんどん突っ込んできて、そこを必死にバックアップしないと「お前の幻想じゃないか」とばかにされるところがあった。政治家に投げかける質問が世界と日本とでレベルが全然違う。
三つ目として、米国だと海軍の原子力潜水艦があるように、原子力ムラでない専門家がいるんですね。ところが国内はムラの住民でないとほとんど生きていけないし、まともに取り扱ってもらえない。
何かあって、東京大学の原子村に聞きに行くと、実はそこはもう汚染されてい
て、そういう(ムラの中の)答えしか返ってこない。そこが日本と世界の決定的な違いなのかなという気がします。
三つ目として、米国だと海軍の原子力潜水艦があるように、原子力ムラでない専門家がいるんですね。ところが国内はムラの住民でないとほとんど生きていけないし、まともに取り扱ってもらえない。
何かあって、東京大学の原子村に聞きに行くと、実はそこはもう汚染されてい
て、そういう(ムラの中の)答えしか返ってこない。そこが日本と世界の決定的な違いなのかなという気がします。
●『電力行政の基礎をつくった自民党にも責任あり ウラで蠢く“電力族”はオモテに出て議論すべし――河野太郎・衆議院議員インタビュー』http://diamond.jp/articles/-/16547
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