産業経理協会月例講演会>2018年「日本の死」を避ける道は あるのか-日本興亡150年史を振り返る①
2015/01/01
2013年6月12日
2018年「日本の死」を避ける道は
あるのか–日本興亡150年史を振り返る–①
ジャーナリスト/
私の日常生活―自己紹介を兼ねて
現在私はジャーナリストを名乗っておりますが、その活動実態を正確に表すならば、「ブログ・ビデオ・YouTubeジャーナリスト」ということになります。まず、自己紹介を兼ねて、私の日常生活がどのようなものであるかを披露させて頂きます。
行政区画では逗子市になりますが、鎌倉材木座から少し山に入った場所に住居を構え、天気のいい日は早朝から2~3時間カヌー・フィッシングに繰り出し、釣った魚は家に戻って朝食の材料にします。
そのあとにブログでニュース、評論、あるいはライフワークを書いて、午後はビデオカメラを持って、体力づくりを兼ね、鎌倉の神社・仏閣や山や海などを散歩します。午後は東京の記者クラブに向かい、夜は仲間と酒を飲むのが私の日常ということになります。6月4日にも午前4時に材木座の海岸から出船して魚釣りをしました。
逗子マリーナの沖でキスを狙ったのですが、メゴチやヒイラギが何匹か釣れただけの残念な結果に終わりました。しかし、非常に波静かなブルーの海を堪能することができ、ストレスの発散には最高でした。
このような鎌倉の海との30年間の付き合いで最近感じていることは、魚の数、種類が激減していることです。それだけでなく、砂浜を住処とする生物も激減し、30年前には材木座の海岸でも沢山見かけたヤドカリなどはほとんど姿を消してしまいました。地球環境の温暖化の影響が鎌倉の海岸にも及んでいるのでしょうか。
紙媒体の限界とインターネットの活用
私は長年新聞社で記事を書いてきたのですが、あの3・11以降、文字や写真(静止画)媒体の表現には大きな限界を感じています。やはり説得力のある情報を発信するには、動画と音声を用いることが必要で、しかもインターネットを経由すればその情報は世界に発信されます。
その意味では、“YouTube”は最も便利なツールです。実際に私もキヤノンの3万5千円のハイビジョンビデオカメラを購入し、それを持って取材に出掛けることにしています。取材相手には、ビデオ撮影による取材であること、“YouTube”にアップする予定であることを事前に断るのですが、意外にも拒絶されることはありません。一般的にマスメディアの取材はステレオタイプ化している傾向がありますから、ビデオ・フリー・ジャーナリストがインターネットに木目細かな情報を発信してくれることは大歓迎なのです。
私がインターネットを中心とした物書き・ジャーナリストとして活動する戦略を立て、“YouTube”を本格的に始めたのは2年ぐらい前のことです。
今では毎日最低10本近い情報を“YouTube”にアップして、これは2年間で合計3,300本近くになりました。また、記事、ニュース、人物評論、その他まとまった論文などを1日2~3本アップし、現在発信しているものが2,000本弱あります。記事、動画、その他で5年内に1万本を書いて「ギネスブック」に登録してやろうということも、半分本気で考えています。
“インターネットばか(馬鹿)”そのものですが、自分自身の書いた記録の、まさに「インターネットばか(墓)」を作りたい、インターネットに自分自身の遺作品の巨大な墓を作ってやろう本気で考えているところです。
日本再生のキーワード
インターネットや“YouTube”以外にも、“Skype”という便利な道具があります。これはご存知のようにインターネット経由のテレビ電話で、世界中のどこと繋げても無料です。私の娘はワシントンに住んでおり、1歳8カ月になる初孫とは毎朝“Skype”でお互いの顔を見ながら話をしています。30分から1時間、映像で孫の相手をしながら子守をしているわけです。ワシントンと日本は13時間程度の時差がありますから、向こうが夕食、こちらが朝食といった具合にお互いに食事をしながら、精彩な画像で孫の笑顔を見ることもできるし、話をすることもできます。
これが20年前では、時間を気にしながら、必要な要件のみを伝える国際電話であり、30分話して何千円という世界でしたが、今ではインターネット経由で無料であるため、好きなだけ話ができます。このようにネット環境は国境を越え、フリー(この場合は無料という意味)、グローバル(地球大)に展開しています。しかも、先程来強調しているように、そのネットの中心が動画によって構成されています。そこが一番肝心な点です。“YouTube”などに動画のコンテンツを積極的にアップしていくことが、日本の今後の成長戦略の基本になるのではないかとすら思っています。
最近では日本の家電メーカーの凋落が伝えられていますが、その映像技術の水準には素晴らしいものがあります。こうした進んだ映像技術のもとで多様なコンテンツを制作していくことが必要です。
スマートフォンやタブレットPCなどは、動画撮影機能が搭載されていますから、写真を撮る感覚で動画を撮影できますし、“Facebook”や“YouTube”などには二つか三つのボタンを押すだけでそれらをアップすることも可能です。
こういう情報環境を徹底して生かせば、様々な分野で応用も可能になっています。インターネット経由の子守りや介護だけでなく、将来は診療・医療についても、ハイビジョンやそれ以上の高画質で行うことが可能となります。こうしたイノベーションを徹底して生かすことが日本再生に繋がることになると日々痛感している次第です。しかし、そこで重要になるのは、ハードだけではなくソフト面です。すなわち、コンテンツをたくさん作って行かなければならず、そこに目を向けて行く必要があるのです。
コンテンツの制作は大して難しいことではありません。成熟期を迎えている日本社会では、様々な体験を持っています。それらをヴィジュアル化・映像化して、“YouTube”などの媒体にアップして行くのです。それらを後輩たちが見れば、先輩たちが経験したことの追体験が可能となります。
すなわち、経験の遺産化を図ってこれを蓄積して行くということです。これは今後の日本の社会、国全体の情報公開のスピード、民主化のスピード、技術の伝統を伝えていくためにも非常に有効な方法であると思います。
日本が辿った敗戦への道
前置きが長くなりましたが、ここから本論に入りたいと思います。テーマは、「2018年『日本の死』を避ける道はあるのか-『日本興亡150年史』-」というものです。突然2018年という年が登場したことを不審に思っている方もいるかもしれませんが、5年後の2018年とは明治維新から数えて150年目に当たる年です。その3年前の当たる2015年は、太平洋戦争の敗戦からちょうど70年目であり、このような歴史的な節目を我々は次々に迎えることになります。
サマーズ元米財務長官は、3・11の第一報を聞いた瞬間に「日本はこれから貧しい国になるだろう」という発言をしたと伝えられています。
このメッセージからイメージされるのは、日本が経済的繁栄の道から脱落し、非常に貧しい国に落ち込むとともに、少子高齢化によって若い人が激減して、老人ばかりの社会となり、孤独死が増えていくといったものです。まさに日本は「3度目の敗戦」を迎えつつあるのかもしれません。第1の敗戦は徳川幕府の崩壊で、明治維新が1868年のことでした。
それから77年後に第2の敗戦を迎えます。太平洋戦争の敗北による大日本帝国の滅亡です。これが1945年の第2の敗戦です。そして第3の敗戦が2011年の3・11ということになるのではないでしょうか。
文明というものは、一定のサイクルを辿っているようで、国家盛衰のサイクルも大体60年、70年で一巡するようです。 旧ソ連(ロシア)の場合も、レーニン率いるボルシェヴィキによって政権が打ち立てられたのが1917年のことで、この体制が崩壊したのが1991年のことですから、誕生から崩壊までが74年であったことが分かります。1961年に建設されたベルリンの壁の崩壊は1989年ですが、1945年のドイツの東西分裂から数えれば大体45年です。
現在、日中間は尖閣問題をめぐって緊張状態にありますが、日中戦争から太平洋戦争突入、そして敗戦へ向かう道は、1931年の満州事変からスタートしています。
したがってあの戦争は約十五年間続いたものと捉える必要があります。満州事変を起点にすると、その5年後には二・二六事件が起こり、統制派の幕僚の支配体制に反発した皇道派の隊付の将校による大規模なクーデターです。それが昭和11年のことですが、さらにその5年後に太平洋戦争への突入、
そして4年後が敗戦という経緯を辿っています。要するに、日本という国は15年で一度滅んだわけです。
今回の尖閣列島の問題に関して言えば、やはり日本側の歴史認識が非常に甘いと言わざるを得ず、歴史的な事実の記録が後世にしっかりと伝達されていないという面がありました。また、太平洋戦争への経過に関しても、肝心な記録は失われている憾みがあります。
というのも、敗戦後の官庁街のあちらこちらから煙が上がっていたと言われるように、官僚機構が戦中に残した記録の多くはGHQがやってくる前に焼却されてしまっているからです。そうなると、当事者の発言や記憶なりをしっかりと映像化するなどして残しておくべきだったのですが、そのような動きは一貫して欠いたままです。
日中戦争のきっかけとなったのが満州事変であり、関東軍高級参謀の板垣征四郎大佐と関東軍作戦参謀の石原莞爾中佐が中心となって謀議を重ね、奉天郊外の柳条湖を通る満鉄の線路を爆破し、それを中国軍の仕業であることにして、満州の瀋陽付近一帯を制圧し、やがて満州全体の支配、満州国の建国に向かって行きました。
中華民国はこれを不法であると国際連盟に提訴し、連盟は現地にリットン調査団を派遣します。その報告書」は1933年2月24日の国際連盟総会に諮られることになり、42対1で採択されたことを受けて、松岡洋右首席代表は椅子を蹴って退場し、日本は国際連盟を脱退することとなりました。
こうして、日本軍は当時の国際法である不戦条約を侵したとされ、全会一致で「日本の行為を侵略とみなす」という判断が下されたわけです。
当時の元老西園寺公望をはじめ昭和天皇は関東軍の暴走を抑えるように意見を発してはいたのですが、軍部はその後も暴走を繰り返し、今度はあの広い中国に戦線を伸ばして日中全面戦争に発展していきます。
当時、「暴支膺懲」という言葉が新聞の見出しに登場したのですが、これは中国(支那)の生意気な反日ボイコット、日本商品のボイコットといった態度を懲らしめることを意味し、新聞の好戦的な報道を受けた国民全体も熱狂し、中国に兵を追加して送ることを支持したのでした。
しかし、それは高揚をむかえつつあった中国のナショナリズムの動向を見誤ったものであり、たといバトルに勝ったとしてあの広い中国を占領することなどできはしません。日本軍の支配が及んだのはせいぜい点と線であり、やがて泥沼に嵌り込んで行くことになります。しかも、こうした軍事侵攻に対して、世界からは日本による中国侵略であ
るとの非難が起こりました。
そして、アメリカ(America)、イギリス(Britain)、オランダ(Dutch)そして、当事国の中華民国(China)は日本に対して経済的制裁を発動します。
いわゆるABCD包囲網です。日本は当時、石油資源をはじめ、あらゆる物資をアメリカに頼っていました。しかも、アメリカと日本とは軍事力も国力も経済力も30倍から40倍の開きがあり、石油、鉄鉱石、その他の資源に関しては完全にアメリカ頼みだったのです。
中国侵略に活路を見出した日本は、経済制裁を突破するために、最大の貿易相手国であるアメリカを相手に戦う道に進んでしまったわけです。長期的な見通しも戦略も全くなく、日中戦争という泥沼に足を突っ込んだ挙句、太平洋全域に対し、またアメリカに対しても戦争を仕掛けるという無謀な道を選択することとなったのでした。
国際関係における問題は、国際法によって裁かれます。満州事変の場合は、中国に謀略を仕掛けた結果が国際法に違反するという視点が、当時の軍部には全くなく、また、海軍と陸軍とが異なる方向を向いていたため、最後の最後まで物資も情報も共通化できませんでした。太平洋戦争ほど無謀で馬鹿げた戦争はなかったというのが私の考えです。
つづく
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