『各国新聞からみた日中韓150年対立史④』(1882年の壬午の変)で『東京日日新聞』は『朝鮮の内乱不干渉』を主張④
●131年前の日韓第一次戦争
(1882年の京城事変、壬午の変)で『東京日日新聞』
は『朝鮮の内乱不干渉』を主張した④
交渉難航の現在の北朝鮮6か国協議と比較すればよくわかる
最近の日中韓の対立のコジレをみていると、日中韓の150年戦争史の既視感(レジャビュ)がよみがえります。あと5年(2018)後は明治維新(1868年)からちょうど150年目に当たります。この間の三国関係を振り返ると、過去100年以上は対立、紛争、戦争の歴史であり、仲良くしていた時期はこの最近3,40年ほどの短いものであり、単に「近隣関係、近隣外交は仲良くしなければ」という建前論からではなく、その対立、戦争のとなった原因までさかのぼって客観的に調べなければ、何重にもモツレた歴史のネジレを解いて真の善隣友好関係は築くことができません。その意味で、150年前の対立、戦争となった事件の各国の報道をたどってみたいと思います。
東日、朝鮮の内乱干渉不可を主張(一)
〔明治15年8月15日 東京日日).
(社説)朝鮮の内乱に干渉すべからず(第一)
朝鮮の内乱に干渉すべきの説は主戦論者の主張する所にして、我々が排斥する所たり。主戦者の言う所を察するに、
(第一)朝鮮国王は正統政府なり、大院君党は乱臣賊子なり、我が朝廷は国王と修交条約を結びたまう上は、義に於いて我が兵力を以って国王を授けて、その乱賊を平らげ王位を復せしめらるべし。
(第二)朝鮮国王は開国党なり、大院君は攘斥党なり、攘斥党をして朝鮮の主権を操らしむるは我が利にあらざるが故に、我が兵力を以って国王党を援くべし。
(第三)我が兵を出して国王を援けざる時は国王は、或いは元山、釜山を割譲して英、仏、独、露に援兵を乞うことあるベし、これ我が国の大不利なるが故に我が兵力を以って国王党を援くべし。
(第四)今日の機会を以って大いに我が武威を朝鮮に輝かすにあらざれば、朝鮮の官民ますます我を侮辱すべきが故に、兵力を以って朝鮮を懲戒すべし。
(第五)朝鮮は東洋の咽喉なり、韓人怯弱これを守ることあたわず。他日、清、露の有とならんは我が利にあらざるが故に、早く今日に於いて我が兵力を以ってこれを併略すべしと云うに外ならず。その浅薄軽躁の見たる知るべきのみ、い.やしくも識見を具するの人は敢えてこの輩のために誤まるる事なきを信ずるなりといえども、世或いはこれに惑うものなきにあらざるべきを懼れ、吾曹はために一言せざるを得ず。(後略)
東日(社説)朝鮮の内乱干渉不可を主張(二)
〔明治15年8月17日 東京日日〕
朝鮮の内乱に干渉すべからず(第二)
そもそも朝鮮の開国主義たるも攘斥主義たるも、その心術は我に於いて与からざる所なり、我が与かる所は彼をして我が国に対して、その条約を遵奉せしむるにあるのみ
。たとえ国王は開国党なりとも、もし条約に違戻(いれい)せば、我これを責めざるべからず、また大院君は譲斥党なりとも、条約を履践する際は我敢えて問すべき所なし、我が見る所は条約を遵奉すると否とにありて、その心術の如何にあらざるなり。しかるをかの主戦論者が、朝鮮の主権まったく攘斥党の掌握に帰するときは、我が国の利にあらずと断定して.かの内乱に干渉せんと欲するものは、まず彼が条約を遵奉すると否とを問わずして、
早くも彼が心術に立ち入りて、以って我が国是を定むべしとするもの、言を換えてこれをいえば、大院君は攘斥の精神なるが故に、たとい条約を遵奉するも我に不利なり、これを討つべしという論理に帰着す。これ決して外交上に於いても政略上に於いても、ともに取りて以って根拠となすべからざるの論理なり。(後略)
東日、朝鮮の内乱干渉不可を主張(三)
〔明治15年8月18日 東京日日)
朝鮮の内乱に干渉すべからず(第三)
今の朝鮮もまた我が二十年前の活劇を再演するがごときものなるべし。かの開国党といえども皆聡明鋭敏にあらず、
幕末官吏のごときとうあんなるも多からん。そのとうあんを憤るがために攘斥党に居る人も少なからざるべし。かく考察し来れば、大院君がいったん政を執るに至り、かく然鎖国の非なるを悟り、もっぱら心を開国に傾くる、
あたかも今日の明治政府のごとくならんも未だだ知るべからず。すでにその因を同じくせば、あんにその果を異にするを常なりとせんや。もし大院君にしていったんその志を改めて開国に進まば、仕前のとうあん開国党に比すれば、その速力を増すなるべし。これによりてこれを観れば、大院君たとい攘斥の主義を執るとも、我が問罪の要債に応じ粂
約を遵奉すべ七と云わば、我はこれに満足してかの内乱に干渉するを要せず。そのなす所に任せんのみ(略)
しかれども我が明治政府を視よ、初め尊王攘夷を以って開国佐幕を倒したるに付き、佐幕論の開国説と密附の関繋ありしがごとく、尊王論と鎖攘説とは固着の連合主義たりしといえども、大政維新の時に方りては、鎖攘論は煙散霧消してその踪影をだに留めず。
これ当時我が維新の元勲に智略に富みたる英傑多かりしを以っての故にあらずや。大院君もまたよくその素論を変じて、人心の乖離を致さざるに足るの智略あらば、敢えて攘夷斥を固執せざるも人心を収攬するに難ぜざるべし。
もしその智略これをなすに足らず、にわかに攘斥説を変更して開国説に傾向したるがためにその地位を失うとも、我に於いては大院君の存亡興廃に.いささかも関繋あることなし。論者何を苦しみてか、国用を費消し生霊を糜爛するをも厭わず、これを討つべし、彼を助けざるべからずとの念を生れずるや、無名の兵を起して非義の儀をなすを好むものなり。朝鮮国にして今回問罪の要債を承諾し、条約を遵奉する以上は、大院君党といえども、すなわち我が朗友なり
主戦論者の第三説は、表が兵を出して朝鮮国王を助けざるときは、国王或いは元山、釜山を割譲し、英、仏、独、露に援兵を乞うことあるべし、これ我が国の大不利なるが故に国王党を援けるべしというにあり。これまた論理に契(あ)わざる言のみ。
論者の言を借りていて言えば、我が兵を也して大院君政府を助けざるときは、大院君は元山、釜山を割譲して英、仏、独、露に援兵を乞うことあるべし。これ我が国の大不利なるが故碇、我が兵力を以って大院君を援くべしと謂う事となる。しかるときは畢竟その土地を外国に割くことあるを懼れて、双方ともこれを援けざるべからず。これを以って朝鮮の内乱に干渉せざるべからざるものとするは、最も浅慮にあらずして何ぞや(後略)
関連記事
-
-
現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルーツを訪ねるー英『タイムズ』など外国紙が報道する120年前の『日中韓戦争史②<日清戦争は朝鮮による上海の金玉均暗殺事件で起きた』
2011年3月4日の記事再録 英『タイムズ』などが報道する『日・中 …
-
-
日中韓異文化理解の歴史学(1)(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く(連載70回中1ー20回まで)★『申報、英タイムズ、ルー・タン、ノース・チャイナ・ヘラルドなどの外国新聞の報道から読み解く』●『朝鮮半島をめぐる150年間続く紛争のルーツがここにある』
『中国/朝鮮行動学のルーツ⑦』中国紙「申報」の論説から 日中韓150年戦争史 …
-
-
『Z世代のための米大統領選連続講座⑯』★『当選のカギを握る米人気歌手テイラー・スウィフトさんがハリス氏投票を明言。ハリス氏当選の可能性高まる!』
ジャーナリスト(静岡県立大学名誉教授) 前坂 俊之 ●米大統領選討論会後の米メデ …
-
-
『オンライン昭和史講座/白洲次郎の研究』★『 日本占領から日本独立へ ,マッカーサーと戦った日本人・吉田茂と白洲次郎(1)』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)
2013/03/14 /日本リーダーパワー史(367), …
-
-
百歳学入門(187)彫刻家・北村西望(102歳)★『わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかるのです」★「いい仕事をするには長生きをしなければならない』★ 『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』
百歳学入門(187) 「わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかるので …
-
-
日本メルトダウン脱出法(800)「視点:米景気悲観は無用、株高継続の根拠=武者陵司氏」●「京都市の大胆な実験」●「「民泊」拡大が暗示するのは、銀行のない未来」
日本メルトダウン脱出法(800) 視点:米景気悲観は無用、株高継続の根 …
-
-
日本リーダーパワー史(662) 戦後の大宰相『吉田茂の思い出』を田中角栄が語る。吉田の再軍備拒否のリーダーシップ 「憲法九条があるかぎり軍隊は持たない」 「メシを食うことにも大変な日本が軍隊を持てるわけがない」(動画あり)
日本リーダーパワー史(662) <来年は明治維新から150年。吉田茂没後5 …
-
-
速報(306)『日本のメルトダウン』『ハーバード大学サンデル教授』『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』『ベトナムのズン首相』の会見
速報(306)『日本のメルトダウン』 <これこそ世界一の授業です! …
-
-
日本メルトダウン( 985)『トランプ次期米大統領の波紋 』―『トランポノミクスが招くかもしれない悪性インフレ』●『安倍トランプ会談、トランプは本当に「信頼できる指導者」か』●『トランプ政権に“史上最強”の海軍長官が誕生か? 海軍を中心に「強い米軍」の復活を誓うトランプ新大統領』●『当選後の会見開かぬトランプ氏、76年以降で最長の日数に』●『土壇場のトランプが打ち出した「350隻海軍」計画 「偉大なアメリカ海軍」は復活できるのか?』
日本メルトダウン( 985) —トランプ次期米大統領の波紋 &n …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(59)記事再録/『高橋是清の国難突破力①』★『日露戦争の外債募集に奇跡的に成功したインテリジェンス
2011/07/10 / 日本 …