『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『米国先住民の警告<最後に人はお金は食べられないことを知るだろう>』★『新型コロナ発生の原因は地球環境を破壊した現代文明、炭素社会、強欲資本主義の結果ではないか。地球温暖化による巨大災害が世界中で頻発している』(7月10日)
米国先住民の警告―「最後に人はお金は食べられないことを知るだろ」
前坂 俊之(ジャーナリスト)
「最後の木が切り倒され、最後の川が汚染され、最後の魚が捕まえられてはじめて、人はお金は食べられないことを知るだろう」ー米国の植民地主義者に対して、追われゆく先住民のクー族が最後に残した言葉だ。
1840年代のある日、米国ワシントン州内で先住民インディオの部落に白い肌の男たちが「土地を買いたい」とやってきた。先住民には「土地を買う」という意味が全く理解できなかった。土地は誰のものでもない、天のものだ。流れる川の水や空気を売買できないのと同じ。白い男たちは頭がおかしくなったのか、と思った。
しかし、白人の文化に親近感を持った酋長シアルスは何とかこの話をまとめ、両者の共生社会ができた。他の先住民地域では白人入植者との紛争、戦いがあちこちで勃発した。シアルス酋長は、他民族の憎悪から白人移民を守る努力を続けた。なぜなら、インディオが拒否すれば、白人は土地を力ずくでぶん捕るだけだとわかっていたからだ。
この異民族の平和的な共生社会は第14代フランクリン・ピアース大統領(任期1853年―1857年)の登場で幕を閉じた。
奴隷制度に賛成していた同大統領は1855年初めに先住民に対して、土地を政府に売って近くの島に移住せよとの大統領令を発したのだ。しぶしぶ承諾したシアル酋長は州政府との調印式で別れのスピーチを行ったが、巻頭の言葉はその一節。シアルス酋長に感謝した白人たちはその名前をシアトル市名につけた、という。(ヘルゲ・ヘッセ著「その一言が歴史を変えた」阪急コミュニケーションズ、2010年刊)
それから約150年が経過した現在、米国では新型コロナウイルスの第2波が発生し、警察官による黒人圧殺事件に対する人種差別反対デモが盛り上がり、植民地主義者の銅像破壊が連発し、正にこの「クー族の警告」がよみがえってきたのかと思わせる雰囲気だ。
新型コロナウイルス発生の原因は地球環境を破壊した現代文明、炭素社会、強欲資本主義の暴走ではないかと、私はおもう。地球温暖化は自然災害の巨大化を引き起こし次々に大災害が世界中で頻発している。
アマゾンの熱帯雨林は地球上の酸素の20%を排出しており、「地球の肺」とたとえられるが、そのアマゾンで2019年には観測史上最多の火災が発生した。破壊された原生林の面積は3万8000平方キロ(四国の面積の約2倍)で、サッカー場ほどの広さの原生樹林が毎6秒ごとに破壊された計算だ。元の熱帯雨林が回復するには数世紀も要するという。
トランプ2世といわれるボルソナーロ大統領はアマゾン開発を推進した結果、ブラジルでの新型コロナウイルスの感染者数は米国に次いで世界第2位の140万人(死者は約6万)=7月2日現在=を突破、アマゾンの先住民やリオデジャネイロの貧民街などで特に感染者が多いという。
一方、ロシア・シベリアのサハ共和国ベルホヤンスクでは6月20日、気温が摂氏38度に達し、北極圏での過去最高気温を記録、例年6月の平均最高気温より18度も高かった。このため永久凍土が融解して、北極圏にある化学工場の土台が沈下し、燃料油が流出し、河川を広範囲に汚染する事故が発生した。
数万~数千年前に形成された永久凍土は米アラスカ、カナダ、ロシアなど北半球の陸地の約4分の1の面積を占め、地球大気の約2倍の炭素(CO2やメタンガスがなど)保持されている。これが融解すると、閉じ込められていた炭素が二酸化炭素(CO2)やメタンガスが放出され、長年閉じ込められていたトナカイの死骸がなどからの感染症の細菌、ウイルスの炭疽(たんそ)菌、コレラなどが解き放たれ放牧されていうる動物や人々の健康を脅かす。新型コロナウイルスの再来の危機となる。
2019年9月に国連がまとめた報告書によると、CO2の排出が続くと、永久凍土の大部分が80年で融解する可能性がある、という。シベリアの天然ガスに頼っているロシア経済は足元でジリジリ発火している「時限爆弾」を抱えた格好だ。
かと思えば、世界覇権を目指して「戦狼外交」を展開する中国でも、洪水パニックが発生した。6月初めから熱帯低気圧が中国を南方エリアを襲い、重慶市(人口3020万人)、貴州省、湖南省、四川省などに大雨を降らせて一帯は「80年に一度の大洪水」に見舞われた。被災者は約1200万人、死者・行方不明者が78人、倒壊した家屋は8000棟以上にのぼった。
重慶を流れる長江の下流には2006年に完成し世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」(湖北省宜昌市)がある。同ダムは軟弱な地盤に建設され、ダム本体のコンクリートに1万カ所以上のひび割れが見つかり、過去何度も同ダム崩壊の危険性についてのニュースが流れた。 今回の大雨で同ダムの警戒水位は145mだが、2mも突破して147mとなったため、大量の水を放水して二次災害を引き起こした。中国水利部が記者会見で「ブラックスワン」(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと)の可能性に触れたため、世界に衝撃が走った。
三峡ダムの下流(揚子江)地域には宣昌市(410万)、岳陽市(555万)と新型コロナは発生の武漢市(1100万)、最後が南京市(800万)と上海市(2400万)の大都市が続約6億人が住み、中国のGDPの40%が集中する中国経済の中心地だ。万が一にも、三峡ダムが決壊すれば、30億立方メートルの土砂が下流域を襲い、上海までが水浸しになり潰滅的な被害が出る。被災地は最悪の衛生状態になり、感染症が発生する、大量のがれきが日本海沿岸に到達するという。
世界はますます不透明な「アフター新型コロナ恐怖時代」に突入している。
関連記事
-
日本メルトダウン(937)『焦点:中国でロボット産業ブーム、制御不能な地方債務を露呈』●『中国、南シナ海の各礁で航空機格納庫を建設か=米シンクタンク』●『「都議会のドン」がいなくなれば、問題は解決するのか?』●『手詰まりの日銀に求めたい「撤退する勇気」』●『[江川達也]<日本の学校に足りないのは「戦争」という授業>アホの巣窟・戦後日本を正すために』
日本メルトダウン(937) 中国、南シナ海の各礁で航空機格 …
-
速報(399)『日本のメルトダウン』『3・11から丸2年』◎『北澤宏一、黒川清、船橋洋一各氏の記者会見動画』
速報(399)『日本のメルトダウン』 ● <まとめ> …
-
日本リーダーパワー史(757 )―『トランプの政策顧問で対中強硬派のピーター・ナヴァロ氏「米中もし戦わば」(戦争の地政学、文芸春秋社刊)を読む」●「米中対話は不可能である」の結論は「日中韓朝対話も不可能であった」に通じる。」★「明治以降の日中韓朝150年戦争史は『エスノセントイズム」「パーセプション」「コミュニケーション」『歴史認識」のギャップから生まれ、『話せばわかるが、話してもわからないことが わかった!」、ならばどうするのか、難問を解かねばならない。
日本リーダーパワー史(757 ) トランプの政策顧問で対中強硬派の …
-
日本リーダーパワー史(131) 空前絶後の名将・川上操六⑳ 児玉源太郎の辣腕と寺内正毅の狭量
日本リーダーパワー史(131) 名将川上操六⑳児玉源太郎と寺内正毅の器量の違い …
-
世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界の最新動向』- 『 溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模の 「北京エッセン溶接・切断フェア」(6/14―17)の最新レポート』●『安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、 自社製の溶接機と各種溶接ロボットを 組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、 パナソニックの全6社が出展。
世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界 …
-
『昭和史キーワード』『昭和天皇史』ー群馬県内陸軍特別大演習の天皇行幸でおきた 天皇誤導事件<1934年(昭和9)>
『昭和史キーワード』 『昭和天皇史』ー群馬県内陸軍特別大演習の天皇行幸でおきた …
-
知的巨人たちの百歳学(134)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル ー 「 医師・日野原重明(103)、漢字学者 白川静(96)に学ぶ」
知的巨人たちの百歳学(134) 『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシ …
-
速報(341)『日本のメルトダウン』『日本と中国の歴史問題の遺産』『“日本再生戦略”が示す政府の深刻な問題点』
速報(341)『日本のメルトダウン』 ●『日本と中国の歴史問題の遺 …
-
『オンライン/渋沢栄一(91歳)の百歳生涯現役講座』★『50歳からの第2の人生へ出発』★『不断の活動が必要で、計画を立て60から90まで活動する』●『煩悶、苦悩すべて快活に愉快に、これが私の秘訣です。』★『90歳から屈身運動(スクワット)をはじめ、1日3時間以上読書を続けていた』
2017/08/09   …
-
日本リーダーパワー史(488)アジアが世界の中心となる今こそ100年前の 大アジア主義者・犬養毅(木堂)から学ぼう
日本リーダーパワー史(488) …
- PREV
- 『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『2021年東京五輪は是が非でも開催、成功させて、日本のデジタル底力を発揮し世界の未来を明るくしよう』★『1964年東京オリンピックを成功させた田中角栄のリーダーシップと突破力』(7月1日)
- NEXT
- 『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『国産スーパーコンピューター「富岳」が8年ぶりに世界一へ』★『コロナ防止対策の世界的な競争力ランキング(23カ国・地域の指導者の比較評価)で、日本の指導力は最下位に』★『『ガラパゴスアナログジャパン』の安倍政権の実行力はガラパゴス諸島に唯一生息する絶滅種族のゾウガメのノロイ歩みと重なって見えた』(7月15日)