世界が尊敬した日本人- 自動車修理工からー代で〝世界のHONDA〃を築いた本田宗一郎


本田語録④「お客の安全こそが一番大事」。
設計室まで行くのがまどろっこしいからである。ある日、外を歩いていたらアイデアが浮かんだ。すぐにポケットからチョークを出し、コンクリートの上に図面を描く。
シャーシを描いてエンジンの位置まで決めた。宗一郎が去ったあと、残った社員はコンクリートの上にトレーシングペーパーをかぶせ、それをなぞった。

宗一郎に怒鳴られてショゲていると「おい、俺のキンタマをつかんでみろ」と宗一郎。遠慮していると「お前のはどうだ」とわしづかみにする。そして「今度はお前の番だ」と掴ませ、「どうだ、デケえだろう」と自慢したという。これは宗一郎お得意のパフォーマンスで、元気を出せ、しっかりしろという励ましでもあったのである。
「昨夜は芸者遊びが過ぎてね」と豪快に笑って居合わせた記者たちを唖然とさせた。また、馴染みになった芸者とドライブしていたときのエピソードだが、山道を走っていると霧が出てきて1メートル先もみえなくなってしまった。車を止めて晴れるのを待つことにしたのだが、せっかちな宗一郎、「ここでやっちまおうぜ」と、睦み始めたのである。
大会では参加者たちの一人一人に「ありがとう」の連呼。会が終われば厨房へ直行し、まかないのオバちゃんたちに「ありがとう」。そして裏方のスタッフたちにも同様の挨拶があった。稲垣謙治は当時、最も若かったデザイナーだったが、その彼のもとに宗一郎がやってきて、「ありがとうな、一杯いこうぜ」と右手でビールを持ち、左手で瓶の首をしごきながら「濃いとこ、濃いとこ」と、注いでくれたのである。その卑猥なしぐさに苦笑しつつも、宗一郎から受けたこの感激は今も宝物となっているという。
招かれた宗一郎は壇上で挨拶したのだが、その第一声が「ありがとう」だった。居合わせた労組の役員は感心したようにこう言った。「本田宗一郎という人は、どんなときでも、どこででも『ありがとう』から始まる人なんだな」と。
社員一人一人の前に立ち、名札を手で持ち、顔を近づけ、名前をきちんと読んでから「ああ、○○さんか、世話になったな、ありがとう」と感謝の意を述べたという。国内ばかりか、世界からも尊敬された経営者・技術者は、感謝の心を常に持ち、忘れなかった。
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