前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史』(66)記事再録/ 日本の「戦略思想不在の歴史⑴」(記事再録)-日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか①

      2019/10/01

2017年11月13日

日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起こったか

今から2年前2015年(平成27)、戦後70年の首相談話なるものをめぐって1年間大騒ぎした。安保法制の国会審議も大揺れだった。久しぶりに国会を大勢の反対デモ隊が取り囲んだ。「戦争法だ」「やれ憲法違反だ」「国民への説明が不十分だ」と与野党のいつもの茶番劇が繰り返された。

「大山鳴動して鼠一匹」である。

日本の永田町ド田舎政治はこの「72年間」この繰り返しである。いまだに国会で「憲法改正」論議、東アジアの大変動・北朝鮮・中国問題の国論統一よりも「加計問題の論議を優先せよ」というマスコミのバカさ加減に愛想が尽きる。今回の安保法制(2015年当時)のターゲットは①中国の国際ルール無視の膨張、軍事大国化、軍事衝突のリスク②北朝鮮の暴発、崩壊への対応であることはいうまでもない。

世界の衆人環視の中で「その防衛機密手の内を十分に国民に説明する責任がある」とマスコミ、野党は執拗に追及した。

世界の国で本来機密性の高い安保戦略を全面公開しなさいと国会の場で延々論議している国があるか。

戦後70年、『集団自衛権』をめぐるかくも長き不毛なイデオロギー的神学論争にふけっている場合でないほど日本をとりまく国際環境は緊張・激変し、日本は衰退中である。

その危機意識がないのには驚くというよりも、いつもこの調子で日本は転んでいったのである。そして大騒ぎ、から騒ぎのあとはいつものごとく、大山鳴動ネズミ1匹で、宴は終わった。

日本の「ジャーナリズム」は子犬同様に、絶えず動くもの目をうばわれて、おっ駆け回しほえ続ける「ペットジャーナリズム」である。国民の多くが大昔の徳川綱吉時代の「生類憐みの令」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E9%A1%9E%E6%86%90%E3%82%8C%E3%81%BF%E3%81%AE%E4%BB%A4

「お犬様」よろしくペットを人間以上にかわいがり、美食を与えて「ペット病院は増えても子供は増えず、産婦人科は減少」<日本老人・子供残酷物語>「生活保護世帯の激増」の倒錯時代が狂い返えされている。

この時代病理は新聞・テレビの「ペットジャーナリズム」通底しており、一見虚を吠えれば万犬これに従う。「歴史認知症」1過性、付和雷同性の多動性症候群であり、ジャーナリズムはその国の民族性の同調しステムとすれば、熱しやすく冷めやすい国民性とも連動している。

日本人には哲学がないともいわれる。哲学とはなにか。戦略思考である。戦略思考とは何か、自己客観視、長期的な判断力、他者からの複眼・多視点からの思考力である。マッカーサーは第2次世界大戦の敵国となった

「ドイツ人は大人だが、日本人は12歳の子供」といった。大人と子供を分けるものは戦略思考の有無である。

大人ドイツと子供日本の落差はメルケル外交とアベ外交(その前の自民、民主の迷走,迷妄外交)の違いである。

今回の安保論議、戦争と平和論争を聞いていて、どうしようもない日本人の戦略思考の欠落、コミュニケーションの上欲の欠如、他者への視線、外国への情報音痴、複眼思考の欠如、そこからくる外交力、国際交渉力の不足以上の欠落を痛感した。

『戦略思想』と「戦争」は切っても切れない因果関係がある。

戦略思想がなければ戦争には勝てないし、戦略の不在、出たとこ勝負は敗北につながる。また戦争と外交とは対立概念ではない。表裏一体である。

戦略思想の具体化が、外交であり対外交渉である。この国際交渉に失敗すると、対外戦争へと発展する、戦争は外交の1手段でもある。戦略思想の軍事的実現が戦争であり、外交なくしていきなり戦争が始まるのではない。日本の対外戦争はほとんどがこの『戦略思考の欠落』(外交失敗)からおきている。

日本の最初の対外戦争の「元寇の役」からみてみよう。

「元寇の役」はユーラシア大陸を席巻しモンゴル帝国の圧倒的な戦力、軍勢により日本側は敗北寸前だったのが、2回とも台風が吹いてモンゴル軍の艦船はことごとく沈没、破壊され、日本は侵略からかくも守られた戦争と伝えられている。

このため台風を『神風』と呼びあがめて、日本を神国化し、北条時宗を護国の英雄として賛美した。以後、国難、対外戦争にはいつも『神国』を守り『神風』を期待する風潮が起きてくる。

元寇の役から約700年後に起きた太平洋戦争開戦(1941年12月8日)をみても、この「神国病」『神風病』が再現されている。開戦日をスクープした東京日日新聞(毎日新聞)は12月8日朝刊の紙面で、「北条時宗にならえ」との記事を大々的にとりに掲げている。

第一面では横見出しに「東亜撹乱、英米の敵性極まる」と大きく謳い、縦には「断乎駆逐の一途のみ」「隠忍度あり一億憤激将に頂点」。社会面では「断じて起つ・一億の時宗」「銃後は火の玉、見よこの備へ」「元寇かくや荒ぶ神風」で国民の決意を呼びかけ「今こそ一億国民の起つべき秋は来た。 我に〝時宗″の決意あり、我に〝正宗″の銘刀がある。(中略)弘安年間、元冠を退けた〝時宗″に国民一人々々がなって銃後も前線もガッチリ肚を極める時期は正に来たのだ」

といった調子である。

「北条時宗の精神を見習え」と国民の戦意を最高度に高揚した。

ただし、この「元寇の役」は太平洋戦争のように、いきなり日本海軍が真珠湾攻撃して開戦した戦争ではない。モンゴル軍はいきなり攻めてきたのではないく、計6回も日本使者を送り、外交、貿易を迫ってきた。

時は鎌倉時代、源頼朝が幕府を鎌倉に開いたが、それも三代で終わり北条氏に実権が移りその後、約五十年が経過したときである。征夷大将軍の名前の通り鎌倉幕府の権限は治安の維持、国土防衛の任務であり、対外関係の処理は京都朝廷の権限に属していたので幕府は蒙古の国書を朝廷に伝奏したのであった。

51RLCi7hMXL

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン/明治外交軍事史/講座』★『森部真由美・同顕彰会著「威風凛々烈士鐘崎三郎」(花乱社』 の背景を読む➄』日中友好の創始者・岸田吟香伝②『 楽善堂(上海)にアジア解放の志士が集結』★『漢口楽善堂の二階の一室の壁に「我堂の目的は、東洋永遠の平和を確立し、世界人類を救済するにあり、その第一着手として支那(中国)改造を期す」と大書』

     2013/02/19『リーダーシップの日 …

世界が尊敬した日本人ー欧州連合(EU)の生みの親の親は明治の日本女性、クーデンホーフ光子「戦争を防ぐためにできたEUが今,大量の難民流入とテロで危機にさらされている」

 『ユーロ難民問題,テロを考える日本の1視点』- 欧州連合(EU)の生みの親の親 …

no image
『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』㊹日清戦争勃発1ヵ月前の『ノ-ス・チャイナ・ヘラルド』『申報』の報道」

  『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパー …

no image
日本リーダーパワー史(758 )―『10日日米首脳ゴルフ会談はどうなるか』ー安倍外交の「国際ルール守れ、価値観外交」の建前、看板を下ろし「すりより外交」「小切手朝貢外交」を展開。『仲良くしなさい』「ケンカはだめよ」「怒鳴るのはもっとダメ」とおとなしい「安全安心教育」された日本の政治家ではトランプ、プーチンの悪役プロレス政治家には全く歯が立たない

   日本リーダーパワー史(758) ドナルド・トランプ米大統領は10日、安倍晋 …

no image
辛亥革命(1911年10月10日)百周年―逆転日中関係歴史情報③―『孫文革命を日本の新聞はどう報道したか』③

辛亥革命(1911年10月10日)から百周年   ―逆転した …

no image
『リーダーシップ必見の日本最先端技術「見える化」動画』(272)★「海上大型風力発電こそ原発、火力発電に替わるの日本の再生エネルギのフロンティア』★『日立造船の「バージ型基礎構造物による次世代浮体式洋上風力発電システムー国家戦略で取り組め」

  国際風力発電展2019(2/27)ー日立造船の環境・漁業と共存でき …

no image
日本リーダーパワー史(56) 海軍トップリーダー・山本五十六は国難にどう立ち向かったか②ハワイ攻撃を発案

日本リーダーパワー史(56) 海軍トップリーダー・山本五十六は国難にどう 立ち向 …

no image
『Z世代のための日中韓外交史講座⑧』★『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉓ 西欧列強下の『中国,日本,朝鮮の対立と戦争』(上)(英タイムズ)」★『朝鮮争奪戦の内幕、西欧列強の砲艦外交、策略と陰謀と暗躍の外交裏面史」をえぐっており、「日中韓戦争史」を知る上では必読の記事』

  2015/01/01『日中韓150年戦争史』㉓記事再録編集 日中1 …

no image
日本リーダーパワー史(293)『凶刃に倒れた日本最強の宰相・原敬の清貧の生活、非業の死、遺書、日記』⑤

日本リーダーパワー史(293)   『凶刃に倒れた日本最強の宰相・原敬 …

no image
片野勧レポート『太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災』ー①なぜ同じ過ちを繰り返すのか―仙台空襲と津波<上>

太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災① なぜ、日本人は同じ過ちを繰り返すのか ― …