『リーダーシップの日本近現代史』(46)記事再録/『江戸を戦火から守った西郷隆盛と勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟の(三舟)の国難突破力①』★『『人、戒むべきは、驕傲(きょうごう)である。一驕心に入れば、百芸皆廃す』
日本リーダーパワー史(157)
『江戸を戦火から守った西郷隆盛と勝海舟、高橋泥舟、
山岡鉄舟の(三舟)の国難突破力①』
前坂 俊之(ジャーナリスト)
6月2日の内閣不信任案の否決の後も、首相の退陣の時期をめぐって、永田町の混乱は一層ひどくなり、亡国の惨状を呈している。かつて「首相になった後は政治家を引退する」と公言した鳩山前首相は「ウソツキ、ペテン師」「男として、人間として、あるまじき態度」「国難を乗り切れない」と感情をあらわに、菅首相を最大級に罵倒する。
もう1人の影のボスの小沢は不信認案に賛成すると断言したのに、本会議には棄権し、その夜は派閥の子分をつれてカラオケバーで、慰労のパーティーで気楽に遊ぶ。
もう1人の影のボスの小沢は不信認案に賛成すると断言したのに、本会議には棄権し、その夜は派閥の子分をつれてカラオケバーで、慰労のパーティーで気楽に遊ぶ。
真面目に働いて税金を払っている国民、大震災、原発の被害者からみると怒り心頭どころではない。この痴的レベルの政治屋集団(民主党)である。
自民党(自分党)の政策も政治力もないないづくしの無能議員たちも国難(敗戦)を倒閣のチャンスとしている亡国の政治屋に変わりはない。
まさに、【売家と唐様で書く三代目】(初代が苦労して作った家屋敷も、 3代目となると売りに出すことになる)である。日本の国家倒産はカウントダウンに入った。
残念ながら、この連中には「国難を突破するインテリジェンス」も「突破力」も「胆力」もありはしない。
西郷南洲(隆盛)は、「大西郷遺訓」で、こう言っている。
『変事(国難)がにわかに起こった時に、少しも動揺せずして、その変に応ずるものは、事の起こらぬ前に、しかと心に決するところがなくてはならぬ。しかして一朝変起こらば、ただそれに応ずるだけのことにいたさねばならぬ。』
古人いわく、『大丈夫の胸中は、「瀟々落々(しょうしょらくらく)、光風霽月(せいげつ)の如く、その自然に任す。何ぞ一毫の心を動かすものあらんや」と、こういう覚悟さえあるならば、変に逢うて、動揺するはずはない」
現代訳すれば、こう
である。

古人いわく、『大丈夫(りっぱな男子)の胸中は、「瀟々落々(しょうしょらくらく)・雨や風の音などがもの寂しいさま」。光風霽月(せいげつ)・雨が上がったあとの月。転じて、曇りがなくさっぱりとした心境」の如く、その自然に任す。何ぞ一毫(いちごう)1本の細い毛ほど』の心を動かすものあらんや」と、こういう覚悟さえあるならば、変に逢うて、動揺するはずはない」
これは、翁が薩人・岸艮真二郎に教えたところである。
付焼刃は、すぐに剥がれる。
勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟の『幕末三舟』の巨人を点検するに、彼らは禍乱のうちに、突如として現出したる風雲児である。しかし、南洲翁がいうが 如く、事の起こる以前において、大丈夫の心田を培うことを忘れなかった。
もしこれがなければ、大難局を収拾することができたであろうか。海舟の神、泥舟の気、鉄舟の力。これみな平生無事の際において養成したるところ、しかして一朝有事の際において発揮した。
日本丸は、無事に航海をつづけているのじゃない。いつ嵐に出会うかわからぬ。
このとき、船長となり、機関長となるものは、何人であるかは知らぬが、三舟の行蔵趨舎(こうぞうすうしや)(【行蔵】: 進んで世に出て手腕を振るうことと、隠れて世に出ないこと。 … しゅ‐しゃ【趣舎/趨舎】: 進むことと止まること。進退のこと)によって、この危局に善処し、船を転覆せてはなるまい。それには、なによりも次代に三舟の風神を伝えることが談じて必要じゃ。ことに、彼らが平生いかなる用意のもとに、人物をつくりあげたか、その1点を明らかにすることが緊要だと考えた。(頭山満『幕末三舟伝』(講談社、昭和五年)

明治維新と関東大震災の比較
明治維新では西郷隆盛と勝海舟の話合いによって、官軍が江戸城を攻撃し、東京が戦場になるかどうかの最後の交渉は、平和裏に解決し、江戸城の無血開城がきまり、江戸は戦火を免れた。西郷、勝海
◎明治元年三月十三日(幕末・江戸城攻撃中止命令)
●大正十二年九月一日(関東大震災)
この両日は、東京市民の心奥に刻みつけておかねばならない。すなわち前者は、
西郷南洲、勝海舟両人の会見した当日であって、江戸攻撃中止の命令が下ったのだ。後者はいうまでもなく、関東大震火災当日だ。1は戦火を防ぐことをえ、他は天火を防ぎえなかった思い出の日である。
わが東京を火の海から救い出した三巨人の遺霊に対して、深く感謝する必要がある。
三舟の修養
幕臣中に、三舟あり。官軍中に南洲の如き大器あり。相いまって初めて時局を収拾し、外圧をふせぐことができたので、もし凡人庸才が、この活舞台に登場したとすれば、維新の終局は、あれほど円満な解決をつげずして、いっそう混乱したかもしれない。三舟の立場にしても、まったく容易でなかった。主家の安全を期し庶民の困苦を救い、すすんで尊王の至誠を披涯しようとしても、周囲の守旧派がこれを遮っている。この際、一死を賭して、自刃の間を往来した態度は、尋常人の企て及ぶべきところでない。(『幕末三舟伝』)
時代が英雄をつくるというが、活躍すべき時に出会っても十分に腕をふるいうるだけの修養ができておらなかったら、これに善処することはむつかしい。だから平生の修養が、まずもって大切である。
剣禅一致の猛修行である
勝が精神修養し、修羅場でも『生死を超越して』活躍できたのも剣と座禅の修養のたまものであった。
『剣道の力と、坐禅の功とは、後年、大いにためになった。幕府瓦解の時分、万死の境を出入して、ついに一生を全うしたのは、この修養のお蔭であった。あの時分、たくさんの刺客に脅かされたが、いつも手取りにした。おこがましいが、この勇気と胆力は、これによって養われている』
海舟は、京都でも、よく刺客にねらわれた。一日、四条通を通過の際、覆面の奴が物蔭から銃口で狙っている。彼は、素早く見て取ったが、敵はまさに引き金を引こうとしている、間一髪である。
海舟は平気で、そやつの前にぬっと立って、
『それでは、オレの体は射てんぞ。まるで照準がはずれておるが……』
冷やかに、こう浴びせかけた。
この一言に、度胆をぬかれて、刺客は逃げうせた。なんでもないことのようであるが、この芸当は、胆がすわっておらぬとできるものでない。
幕府瓦解の際、いつ自刃のもとに、倒れるかわからなかったような場合にも、彼は護衛をつけなかった。どこへでも単独で出かけて行った。彼の家には、乱暴者が押しかけたが、壮士は一人もおらず、女子供がいるばかり。いざという時になっては、虚心坦懐、事にあたってさわがず、焦らず、死中、活を求めたところは、禅機の妙用を体得していた。(『幕末三舟伝』)
高橋泥舟は槍の名人である
泥舟の兄、号は静山で非常な達人であったばかりか、立派な人格者であった。平生、二尺足らずの木刀を帯びていたが、その木刀の片方には『人の短をいうなかれ、己の長を説くなかれ』と記し、裏の片方には、『人に施して慎んで念とするなかれ。施を受けて慎んで忘れるなかれ』と刻んであったという、
その山岡静山はいうてる。
『人、戒むべきは、驕傲(きょうごう)である。一驕心に入れば、百芸皆廃す』
これは、武道家ばかりじゃない。いかなる職業の者も、同じだ。ところが、芸が未熟なうちは、少しばかり名が出ると、俺は天下一だと自惚れくさる。この自惚れが出るときは、もうおしまいだ』
関連記事
-
-
『オンライン講座/日米戦争開戦の真珠湾攻撃から80年⑫』★『 国難突破法の研究⑫』★『東日本大震災/福島原発事故発生の3日前の記事を再録(2011/03/08)』★『ガラパゴス/ゾンビ国家になってはいけない』★『ロジスティックで敗れた太平洋戦争との類似性』★『1千兆円の債務を抱いて10年後の2020年以降の展望はあるのか?」
2020/01/23『リーダーシップの日本近現代史』 …
-
-
日中北朝鮮150年戦争史(38)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実]』③戦前、世界も日本も、圧勝を予想したものはなかった。ただl人、大本営で日清戦争を全面指揮した川上操六川上操六の インテリジェンスの勝利であった。
日中北朝鮮150年戦争史(38) <歴史復習問題>『120年前の日 …
-
-
『F国際ビジネスマンのWサッカー・ウオッチ㊲』 【ミラン本田が初アシスト、本田がどう挑むか見物です」
『F国際ビジネスマンのWサッカー・ウオッチ㊲ …
-
-
「Z世代のための日本最強リーダーパワーの勝海舟(75)の国難突破力の研究⑥』★『日本人はあまり日清戦争に勝ったなどといばっていると、あとで大変な目にあうよ。剣や鉄砲の戦争には勝っても、経済上の戦争に負けると、国は仕方がなくなるよ。』
2012/11/23 日本リーダーパワー史(347)記事再録 ●『勝 …
-
-
[ Z世代のためのAIを上回るエジソンの天才脳の作り方➂」★『発明家の生涯には助産婦がいなくてはならない。よきライバルを持て』★『エジソンの人種偏見のない、リベラルな性格で、日本人を愛した』★『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの全知全能力を傾けた努力の結果であるならば』
2022/01/23 『オンライン …
-
-
『テレワーク、SNS,Youtubeで天然生活術』★『日本初海上説法/南無むにゃむにゃバカ話!』★『鎌倉座禅カヤックで魚と遊び、波に揺られて昼寝すれば快楽・悦楽・満足スピードアップ!』
「釣れなくてよし、釣れればなおよし」の座禅釣りの坊主じゃ。海上説教といくよ。 む …
-
-
速報(279)『日本のメルトダウン』☆仏独共同の国営放送局ARTE◎「フクシマ-最悪事故の陰に潜む真実」(ビデオ)
速報(279)『日本のメルトダウン』 仏独共同の国営放送局ARTE …
-
-
日本メルダウン脱出は無理か(672)「2-3%成長率による財政再建」「格付け低下を何とかせよ」「TPP米国不参加」の三重苦で「アエグノミクス」へ
日本メルダウン脱出は無理か(672) 「2-3%成長率による財政 …
-
-
日本メルトダウン(925)東京都知事選スタート―『猪瀬氏が東京のガン・伏魔殿都議会を告発』●『何よりダメな日本の政治家選び,育て方』『橋下徹氏がいう「政治の実行プロセスを知らない候補者ばかり』
日本メルトダウン(925) 東京都知事選スタート― 『猪瀬氏が東京のガン …