前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

世界/日本リーダーパワー史(962)ー『2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか,米中貿易協議(3/1)の行方はどうなる!?』➀

      2019/01/15

世界/日本リーダーパワー史(962)

前坂俊之(ジャーナリスト)

2018年12月末に、ニューヨーク株式市場は1930年以来の第2番目という大暴落を記録し、世界的な恐慌の足音が鳴り響き2019年大動乱の幕開けを告げた。

3月1日は米中貿易戦争の交渉の結果,米国が中国側に関税25%引き上げるかどうかの決定期限であり、英国ブレグジットのEU離脱期限も3月末である。結果はどうなるか、世界はかたずを飲んで、見守っている。

12月24日のクリスマス・イブ、ニューヨーク株式市場は、3%近く下げてダウ平均は650ポイント安で引け、「暗黒のクリスマス・イブ」(CNBCなど)と言われた。東京市場も、日経平均で1000円近い下げで連動し、1930年代の大恐慌の「暗黒の木曜日」を連想させる「トランプ株安」となった。ニューヨーク株式市場の年間下落幅は金融危機が起きた2008年(33・8%)以来10年ぶりの大きさで、今年の大波乱を予感させる出来事でした。

 

中国との「貿易戦争」の行方、マティス国防長官の解任、中東情勢の不安定化、それに輪をかけた0,25%利上げしたFRBパウエル議長への批判、政府閉鎖の長期化などトランプの政治、外交、経済に対する不安材料が一挙に噴き出して、市場が不信任を突きつけた形だ。正月明けにはパウエル議長が今年中の利上げはしないと発言したことで、やっと株価は上昇に転じたが、その後も疑心暗鬼の不安定な値動きが続いている。

 

トランプ政権が誕生した2017年1月に米科学誌は『地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「世界終末時計」を2015年より30秒進め、残り2分半となった』と発表した。「1人の人間がこれほど大きく影響したことはかつてなかった」と米科学者も警告を鳴らしたが、それが現実になってしまったといえる。2年後の今はトランプの無謀運転で、世界中で混乱と秩序崩壊の「悪い種」がまかれているということだ。

  世界、日本メルトダウン(1021)ー「トランプ大統領40日の暴走/暴言運転により『2017年、世界は大波乱となるのか」①『エアーフォースワンはダッチロールを繰り返す。2月28日の施政方針演説では「非難攻撃をおさえて、若干軌道修正」、依然、視界不良、行き先未定、墜落リスクも高い①

http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/23580.html

 

●米中衝突、戦争の可能性は75%に、2年前の警告

また、この連載記事で、過去五〇〇年の世界史で既存の覇権国(現在のアメリカ)と新たに台頭してきた国(中国)が対峙したケースは計一六回あり、そのうち一二回で戦争になったという『ツキジデスの罠』にも触れた。戦争勃発の確率は実に七五%に上る。トランプ政権での大統領経済補佐官のピーター・ナヴァロ氏は今年(2017年)は何が起こるかわかりませんよ、と発言しているが、2019年の世界情勢はさらに一層悪くなりそうだ。

日本リーダーパワー史(757 )―『トランプの政策顧問で対中強硬派のピーター・ナヴァロ氏「米中もし戦わば」(戦争の地政学、文芸春秋社刊)を読む」http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/23141.html

 

国際政治学者、イアン・プレマー氏は2019年は「地政学的不況」だ、という。ブレグジツト(英国のEU離脱)や欧州の弱体化、中国の台頭など、中長期的には極めて懸念すべきリスクだ。今後、経済不況になれば、地政学的にも最悪の事態が訪れ、本当のリスクが顕在化するという。一体どうなることやら!」(毎日1月8日朝刊)

「Gゼロ」(G7を構成する主要先進国が指導力を失い、G20も機能しなくなった国際社会)後を予測した米政治学者イアン・ブレマー氏は2019年の世界10大リスクを発表した。

(1)悪い種子

(2)米中関係

(3)サイバー空間での抗争激化

(4)欧州で広がるポピュリズム

(5)米国の内政混乱

(6)イノベーションの停滞

(7)リベラルな世界秩序に反対する連合体

―なとなっている。

首斬りトランプが12月20日にマティス国防長官をついに斬ったね。同盟国と現実の国際秩序を重視し、トランプ政権内の要石だった同氏が外れると、トランプの無謀運転を制する者は1人もいなくなった。マティス氏は「トランプの世界認識は小学生IQ」と言ったそうだが、トランプ氏の家族重視のど素人安保外交はますますひどくなって世界を恐怖に陥れるのか。

 

マティスを斬った日、トランプは「米国は中東の警察官になりたいのか。他人を守るのに貴重な命や何兆㌦を費やしても何も得るものはない」とトランプは持論をツイートし、約1万4000人規模のアフガン駐留米軍の半減を国防総省に指示した。不動産ビジネスでのディール(取引)とそろばん勘定だけの人物が、間違って当選した悲喜劇だね。
この正月も誰もホワイトハウスに訪ねてくる人がなく、家族はマイアミで過ごしているので、独りぼっちで寂しかったとこぼしている点を見ると、激情型で偏屈な性格のわりには根は寂しがり屋と見えるね。

マティス氏はこれまで、必ず同盟国を支援すると安心させてきた。そのために国防総省は「安心省」と呼ばれていたが、今後は「不安省」に変わると、心配されている。河野太郎外相も「マティス氏のような方はそう簡単に探せるかわからない」と述べている。

国防総省内では彼に続いて他の高官も辞任するとの観測も浮上しており、米国の安全保障政策は破綻する恐れもある。

●トランプ政権の高官離職率は歴代政権の2-3倍も高い

結局、トランプ政権から、誰もいなる人材倒産現象が続いているのです。歴代政権と比べると、この2年間で高官の離職率が65%、オハマ政権では24%、ブッシュ(子)政権の33%なので2,3倍も高い。トランプ氏の無謀運転に対する批判が絶えず、政府高官だけではなく、各省の人事も枯渇している。
マティス氏、ティラーソン国務長官ら国際協調派や自由貿易派はほとんど姿を消した。トランプ大統領のカギを握るのは長女イバンカ大統領補佐官やその夫のクシユナー上級顧問といわれており、家族の意向に逆らうと、クビを斬られる。まるで、中世の家族愛の強い王様や、家族独裁主義の中近東、アジア、アフリカの独裁者を思わせ愚行を繰り返している。

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論 ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
女性学を切り開いた稀有の高群逸枝夫妻の純愛物語

 「国文学」09年4月号に掲載     <結婚とは死にまでい …

no image
知的巨人たちの百歳学(166)ー長崎でシーボルトに学び、西洋の植物分類学をわが国に紹介した伊藤圭介(98歳)ー「老いて学べば死しても朽ちず」●『植物学の方法論ー①忍耐を要す ②精密を要す ③草木の博覧を要す ④書籍の博覧を要す ⑤植学に関係する学科はみな学ぶを要す ⑥洋書を講ずる要す ⑦画図を引くを要す ⑧よろしく師を要すべし』

    2017/01/03 &nbsp …

no image
日本の最先端技術『見える化』動画チャンネルー 『CEATEC JAPAN 2016』(10/4-7)-「Creative Approach for IMPACT」-ロフトワークの実践」同社取締役CMO 矢橋友宏』●『2016年の「デザイン思考」ーロフトワークは「デザイン思考」をやっていない』●『』

  日本の最先端技術『見える化』動画チャンネル 『CEATEC JAP …

no image
速報(55)『日本のメルトダウン』ー仏アレバ日本法人社長が汚染水処理方法について語る(動画ビデオ)

速報(55)『日本のメルトダウン』 ●仏アレバ日本法人社長が汚染水処理方法につい …

no image
速報(80)『日本のメルトダウン』『<お勧め動画18本>福島の明日を予測するにはチエルノブイリの惨状を見て、長期対策を立てよ』

     速報(80)『日本のメルトダウン』 『< …

no image
TPP交渉、日中交渉で外交力を発揮せよ①>日本は戦争では勝ったり、負けたり、外交では負け続けてきた「交渉力無能国家」

   <TPP交渉、日中交渉で外交力を発揮せよ①> &nbs …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< アメリカ・メルトダウン(1059 )>『トランプ政権半年目で公約実現はとん挫し『ロシアゲート事件』の嵐の中に突っ込んで、政権はキリモミ状態で墜落寸前の末期症状を呈している。』

★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < アメリカ・メルトダウン(1059 …

no image
日本リーダーパワー史(479)杉山茂丸の研究⑤ 『日清戦争勝利の陰で陸奥宗光、川上操六、荒尾精を操った<もぐら>

   日本リーダーパワー史(479) <日本最強の …

no image
速報「日本のメルトダウン」(480) 「再生可能エネルギーにまつわる6つの神話」◎『歴史認識問題 前中国大使・丹羽宇一郎氏に聞く』

  速報「日本のメルトダウン」(480)   &n …

no image
世界史の中の『日露戦争』⑮米国「ニューヨーク・タイムズ」の『日露戦争―日本軍の侵攻』<開戦10日目>

     世界史の中の『日露戦争』⑮ 英 …