『池田知隆の原発事故ウオッチ⑧』ー『最悪のシナリオから考えるー原子力政策は増大する軍事化の一部(独紙から)』
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑧』
『最悪のシナリオから考えるー原子力政策は増大する軍事化
の一部(独紙から)
の一部(独紙から)
池田知隆(ジャーナリスト)
原子力政策は増大する軍事化の一部(独紙、大阪大学、木戸衛一氏寄稿)
(ベルリン在住の友人が独紙の寄稿を翻訳して送ってくれました)
(ベルリン在住の友人が独紙の寄稿を翻訳して送ってくれました)
理性的な人間であれば誰もが、日本は今こそ従来のエネルギー政策を根本的に転換すると期待するだろう。ところがそうでもなさそうだ。日本は電力の約30%を原子力に頼っている。政府は、2020年までにこの数値を40%に引き上げようとさえしている。この非常にリスクの高い政策には、寸分たりとも変化を加えてはならないのだ。日本が原発推進政策にこれほど執着するのはなぜなのか。一つの実証済みの解釈は、日本に核兵器所有の意図があるということだ。
1969年、西ドイツ外務省との秘密交渉で、日本が核兵器の共同開発を提案した事実を、日本外務省は2010年11月末になってようやく認めた。
日本は核拡散防止条約(NPT条約)に不満を持っていた。日本が「二流国」であることに耐えられなかったのだ。当時、西ドイツ側の交渉団のトップは、外務省政策企画部長のエゴン・バールだったが、日本側はこの秘密交渉で、西ドイツに対し今後10~15年後に核兵器を所有せざるを得なくなる緊急事態が発生しうるというシナリオを描いてみせた。
日本の提案が西ドイツに受け入れられなかったため、日本・西ドイツの核兵器共同開発は実現に至らなかった。そこで、日本は米国の核の傘に入った。そもそも、唯一の被爆国である日本が、原子爆弾の軍事的効果を信奉することこそ、根本的な矛盾なのだ。
冷戦の享受者である日本が、近隣地域に対等なパートナーを持たなかったのは、周知の事実となって久しい。北朝鮮による脅威だけではない。中国、韓国、ロシアとの領土問題は先鋭化してきている。
日本の反応は戦闘的だ。2010年12月17日、今後防衛力はもはや従来の抑止構想によらず、あらゆる事態において抑止と対処を可能にする「動的防衛力」が必要だとする閣議決定が行われた。これは事実上、日本が専守防衛を放棄するという宣言である。平和主義的な憲法第9条をないがしろにして、日本は攻撃的武装を行おうとしている。いつでも、どこでも、米国の側に立って軍事的プレゼンスの用意ができているということなのである。
2010年から11年にかけて、少なくとも1361名の「自衛隊」兵士が、外国での任務についている。前年度に比べ、400人増えている。しかもこの間自衛隊は、外国(ジブチ)に軍事拠点すら置いているのだ。
北東アジアでの孤立状況を前に、日本のメインストリームの間では、「日米同盟」が呪文のように繰り返されている。今回の震災では、自衛隊の救援活動と並んで、米軍の支援活動が過度に称賛されている。他の多くの国々が日本に援助の手を差し伸べてくれたのを、マスコミは忘れ去っている。
原発事故が改めて明らかにしたのは、「国が言っているから安全なはず」というモットーにしたがって、お上を盲信することの危うさである。今こそ日本人は、系統的に教えこまれてきた考え方を克服する時だ。
これはもちろん権力者にとって不愉快なことだ。事故の本当の状況や放射能汚染について、彼らはあまり熱心に情報を提供していない。自衛隊の救援活動については、軍人精神に拍手が送られている。
震災以後、政治論争は途絶えたままである。現在の与党と以前の与党との違いは、ほとんどなくなっている。どちらもネオリベラル、米国追従、軍事志向だ。この未曽有の国難につけこんで、大連立を組み、憲法9条を廃止することもあるかもしれない。もしそうなれば、これは世界からの支援に対する致命的な裏切りとなる。
著者は大阪大学で政治学を教えている。2009年、ベルリン自由大学で『1945年以後日本の再軍事化』の研究で博士号を取得した。
</span>
31.03.2011 17:33 Uhr
Von Eiichi Kido
瓢漫亭通信(池田知隆ブログ)
関連記事
-
速報(371)『日本のメルトダウン』『12月14日MBSラジオ、小出裕章が出演』『敦賀廃炉、日本原電役員に年収3千万円超のデタラメ』
速報(371)『日本のメルトダウン』 <小出裕章非公式まとめ転載> ◎『12月 …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(41)記事再録/『日本議会政治の父・尾崎咢堂のリーダーシップとは何か③>』★『世界に例のない無責任政治、命がけで職務に当たらず 辞任しても平気で再び顔をだす3代目政治家』③』
2012年2月25日/日本リーダーパワー史(238) …
-
日本メルトダウン脱出法(779)「幻想の大国を恐れるな-エマニュエル・トッド (歴史人口学者)」●「 20年後、アジアは欧米を越える経済の中心地になる」●「日本の天才数学者、谷山豊が得た奇跡の着想 「数学の大統一」に日本人が大貢献していた」
日本メルトダウン脱出法(779) 幻想の大国を恐れるな-エマニュエル・トッド ( …
-
近現代史の重要復習問題/記事再録/『大日本帝国最後の日ー(1945年8月15日)をめぐる攻防・死闘/終戦和平か、徹底抗戦か?⑥』<8月14日の最後の御前会議―昭和天皇の言葉とは!>『御前会議が終ったのは正午,ついに終戦の聖断は下った。』
2014/11/01 『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㉑ …
-
速報「日本のメルトダウン」(511) 「2014年のアジアは第一次世界大戦前の欧州に類似=依存関係の高まりは戦争を回避せず―スペイン紙」
速報「日本のメルトダウン」(511) 来年(2014年 …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(94)記事再録/『本物のリーダーとは、この人をみよ』★『大津波を予想して私財を投じて大堤防を築いて見事に防いだ濱口悟陵のインテリジェンス
2012/09/11   …
-
★★(再録)日中関係がギグシャクしている今だからこそ、もう1度 振り返りたいー『中國革命/孫文を熱血支援した 日本人革命家たち①(16回→31回連載)犬養毅、宮崎滔天、平山周、頭山満、梅屋庄吉、 秋山定輔、ボース、杉山茂丸ら
★(再録)日中関係ギグシャクしている今こそ、 振り返りたい『辛亥革命/孫文を熱 …
-
日本メルトダウン脱出法(840)『ディープニュース座談会ー迫りくる『一億総下流衝撃社会』の『年金老人残酷物語』の衝撃①②(動画45分)
日本メルトダウン脱出法(840) 『ディープニュース座談会ー迫りくる『一億総下 …
-
速報(152)『日本のメルトダウン』 「ソブリンリスクの本質」『ユーロの崩壊は近いーユーロを救えるのは政治統合だけだ』ほか
速報(152)『日本のメルトダウン』 「ソブリンリスクの本質」 『ユ …
-
速報(46)『福島原発事故2ヵ月、100年廃炉戦争へ②』悲惨を極める原子力発電所事故』(小出裕章講演)
速報(46)『福島原発事故2ヵ月、100年廃炉戦争へ②』 悲惨を極める原子力発電 …