前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(78)『ピンチの日本原電、電力各社が救済資金(2・27)『福島原発事故後2年、炉内の状況は深刻(2・25)

   

 
 
池田龍夫のマスコミ時評(78)
 
◎『ピンチの日本原電、電力各社が1200億円の
救済資金(2・27)
●『福島原発事故後2年、炉内の状況はなお
深刻(2・25)
 
ジャーナリスト 池田龍夫
 
 
 
◎ピンチの日本原電、電力各社が1200億円の救済資金(2・27)

 
 電力会社の体質は、「3・11大惨事」以降も一向に改まっていない。原発を持つ9電力会社と日本原子力発電は、互いに支えあって〝原発王国〟を形成。情報を公開しないばかりか、虚偽報告までして〝企業防衛〟に走る姿は相変わらずである。
 
                                     敦賀原発など3基再稼働のメド立たず
 
 今度は、原発を専業とする日本原電の行き詰まりが表面化した。同社が保有している敦賀原発1~2号機と東海第2原発の3基を再稼働させるメドが立たないなかで、4月に返済期日を迎える借入金の借り換えが困難になったためという。
 日本原電は1957年に電力各社の出資でつくられ、東京電力など5電力に電気を売る商売。このピンチを救うため、日本原電から電気を買ってきた東京・関西・中部・北陸・東北などの電力会社が1200億円もの資金繰りをする計画だ。
 
                                        内輪の資金繰りは、筋違い
 
 朝日新聞2月22日付朝刊は、「原発事故を起こして実質国有化された東電を除く4電力会社が1040億円分の債務保証し、返せなくなった時には返済を肩代わりする約束だ。電力各社は相次いで電気料金値上げを決めており、業界内の支援にカネを使うのは利用者の反発を招く」と指摘していたが、電力会社のもたれ合いの構図に愕然とさせられた。
 
                                            地域独占に安住していたツケ
 
朝日は2月25日付社説でも取り上げ、「休止中の日本原電の原発3基は、敷地内で活断層の存在が指摘されており、運転期間の寿命とされる40年を過ぎたものもある。
今後も稼働は困難と考えるべきで、事実上の清算処理を視野に入れざるを得ない。厄介なのは、使用済み核燃料の保管だ。本来は事業者が廃炉に必要な費用を積み立てておくのがルールだが、原電は十分な積立金を確保していない。地域独占に安住し、もたれ合いのなかで原発依存を進めてきたツケが回った形だが、一つのほころびが連鎖反応を呼びかねない。今後の原発政策全体をにらんで、原電の抜本処理を進めることが不可欠だ。
だれが、どのように負担していくべきか。廃炉の技術や人材の確保を含めて、『原発の後始末』に早く着手しなければならない」と、厳しく迫っていたが、まさに正論である。
 安倍晋三政権は、支離滅裂な原子力政策を何時まで続ける積りなのか。欧米諸国は、それぞれに「脱原発の年次目標」を掲げ、太陽光・風力・潮力・地熱発電などの研究・開発を急ピッチで進めている。日本政府の取り組みは、余りにも生ぬるい。
 
 
 
 
 
 
福島原発事故後2年、炉内の状況はなお深刻(2・25)
 
 
                      朝日新聞が、決死的な潜入ルポ
 
 廃炉作業が進められている福島第1原発の1~4号機について、東京電力が現状報告を怠っているので、炉内の状況がサッパリ分からない。心配でたまらなかったが、朝日新聞2月21日付朝刊が潜入ルポを伝えた。原子力規制庁検査官に同行したもので、高濃度汚染の各炉を4時間にわたり見て回った報告は貴重だ。規制庁検査官の現地調査を察知、危険を押して同行取材した努力は、特筆に価する。
 
                                       汚染水が激増、4号機には近寄れず
 
 「1~3号機で溶けた燃料を冷やした水と、建屋に流入した地下水が混ざって汚染水は増え続けている。汚染を除去しきれず、敷地内にタンクで保管している。2011年7月に約1万㌧だった汚染水は、今年2月には23万㌧に増え、今も1日数百㌧ずつ増えている。汚染を取り除いたとしても処理水の海洋放出は当面難しい。1~3号機建屋は現在も放射線量が非常に高く、作業員が容易に近づけない」との報告に肝を冷やした。
 
 最も危険視されている4号機については、「4号機建屋最上階からは鉄骨がぐにゃりと曲がって鳥の巣のようになっている建物が見えた。炉心溶融事故で水素爆発を起こした3号機の建屋だ。4号機にいる作業員の姿はない。無人操縦のクレーンが屋上のガレキを撤去していた」と記しており、特に4号機には潜入できるような状態でなかったようだ。
 
 屋根が吹っ飛んだ4号機上部には、使用済み核燃料約1500本が保管されたまま。昨年2本だけ引き抜いたが、全部撤去するには10数年かかるという。欧米諸国が最も危険視しているのは4号機で、1日でも早い決着が望まれる。
 
                                                          廃炉作業の完了は2050年ごろ?
 
 
安倍晋三政権は「福島第1原発廃炉対策推進会議」を立ち上げたが、以上の潜入報告が伝えたシビアな現状を見つめ、「まだまだ冷温停止と言えない状況だ」と、国民に伝える責任がある。東電に対しても、必要な情報開示の徹底を厳命すべきだ。
 
東電は2015年までに敷地内に70万㌧収容可能なタンクを増やす計画というが、これとて中間的対策に過ぎない。原子力規制庁福島第1原発規制事務所の小阪淳彦所長は「放射能が局所的に高いホットスポットもいまだに把握しつくされていな」と述べており、廃炉作業完了は、2050年ごろと言われている。こんな状況下で、原発再稼働や新増設が論議されていることなど、時代錯誤ではないか。
 
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 - 現代史研究 , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑰『日本の最も長い日(1945 8月15日)をめぐる攻防・死闘ー終戦和平か、徹底抗戦か②』

 『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑰     『日本の最も長い日―日本帝国最後の日 …

no image
速報(396)『日本のメルトダウン』『21世紀は「情報戦争」「サーバー戦争』の時代ー「サイバーセキュリティ」こそ最重要課題』

速報(396)『日本のメルトダウン』     ●『21世紀の …

no image
『日本敗戦史』㊵徳富蘇峰が語る『なぜ日本は敗れたか』⑥「国民総ざんげ論」の東久邇首相の施政方針演説(9/5)を批判」

 『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㊵ 『来年は太平洋戦争敗戦から70年目―『日本近 …

no image
速報(82)『日本のメルトダウン』●『<循環注水冷却>はうまくいかないー2策、3策に英知を結集し、国家対策で取り組め』

速報(82)『日本のメルトダウン』 ●『<循環注水冷却>はうまくいかないー2策、 …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(224)/★『世界天才老人NO1・エジソン(84)<天才長寿脳>の作り方』ー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功の11ヵ条」(下)『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの 全知全能力を傾けた努力の結果であるならば」』

』   2018/11/23  百歳学入 …

no image
日本メルトダウン脱出危うし!(836)『太平洋戦争の末期に似てきたアベノミクスーマイナス金利は銀行に死ねという「特攻出撃」だ(池田信夫)』●『見くびられた日銀、円強気派が予想引き上げ-年末に対ドル95円も』『アジアの富裕層に円買い促す-日銀マイナス金利でも円高止まらず』●『直下型地震の前触れ?伊豆・相模地域は要注意 「熱エネルギーが間もなく到達」と埼玉大・角田教授が警告』●『春節商戦に冷や水!?中国「爆買い禁止令」の真相』

   日本メルトダウン脱出危うし!(836) コラム:荒れる市場、逆境に立つアベ …

no image
<最強の外交官・金子堅太郎⑨>『外交交渉の極致―ポーツマス講和会議で日本を支持したルーズベルト大統領』(終)

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑨>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『外交 …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座(50)』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテジェンス➅』★『ドイツ皇帝からの親書を金子が読む、大統領は親友だから見せないが、話すよ』●『日本海海戦勝利にル大統領 は大喜びして、熊皮を明治天皇に プレゼントした』

    2017/06/25 日本リーダーパワー史 …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座④』★『宮崎滔天の息子・宮崎龍介(東大新人会)は吉野作造とともに「大正デモクラシー」を牽引し「柳原白蓮事件」で「大正ロマンの恋の華」となった」★『炭鉱王に離別状を朝日新聞に大々的に発表、男尊女卑の封建日本を告発した<新しい女の第一号>で宮崎龍介と再婚した』

  2014/07/23    …

no image
速報(159)『日本のメルトダウン』ー『すべての勝負は情報力・フリー・オープン・リッチコンテンツ』

速報(159)『日本のメルトダウン』   『すべての勝負は情報力・フリ …