連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」④『超新星の輝きは増すばかりで、今後英語を習得したら、アメリカで信じられないほどの商品価値を誇ることになる』(Forbes)
連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー
<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」④
エンゼルス大谷選手の活躍が止まらない。
4月12日、対ロイヤルズ戦では8番でスタメン出場し、7回満塁の場面で走者一掃の三塁打を放ち、チームは7-1で快勝した。翌13日の対ロイヤルズ戦では7番DHで出場、メジャー初の二塁打を含む2安打でエンゼルスが5-4で逆転勝利した。
私はこの試合をNHKBS中継で観戦したが、2回の初打席でレフトに技ありの流し打ちの2塁打を放てば、八回には低めの変化球をジャストミートして中前打を放ち、逆転に貢献した。イチローのような鋭いバッティングと見事な走塁、投打守走の4拍子揃ったところを披露した。
16日のカンサスシティーでのロイヤルズ戦は、残念ながら雪のため中止。
これで、大谷効果もあり、エンゼルスは開幕15試合で12勝3敗の好成績で、1979年以来の球団タイ記録となった。
デビュー10日間で投手で2勝、打者で3本塁打は100年ぶりの偉業といい、大谷はア・リーグの週間MVPに選出された。
このアンビリーバブなイケメン二刀流に対して、全米メディアは「世界的事件」「大谷は他の惑星の人間」などとの賛辞を呈したが、世界有数の経済誌「Forbes」は大谷の“経済的価値”をこう評した。
「超新星の輝きは増すばかりで、今後英語を習得したら、アメリカで信じられないほどの商品価値を誇ることになる。ハリウッドのあるこの地ではスターを愛し、常に“次なるスター”を待ち焦がれているためだ」
大谷翔平、米でも注目度抜群 経済誌「フォーブス」また特集「米国にも利益」
https://full-count.jp/2018/04/17/post121721/
「マー君、神の子、不思議な子」の名言でヤンキースで活躍中の田中将大投手を評した、あの野村監督も大谷の本塁打について「われわれ世代の常識からは考えられない。打撃で一番大事なのは、軸足のためだけど、できているもんね。ためができたら金がたまるというぐらい。貯金通帳を渡しておこうかな」とジョークを飛ばして、エールを送っていた。
野村克也氏が大谷翔平を絶賛 「あの王・長嶋ですらメジャーでは…」
http://news.livedoor.com/article/detail/14583714/
では大谷選手自身はこの周囲の熱狂をどう思っているのだろうか。月刊「Number」(2018年4月号)に本人のインタビューが載っている。
惨々な成績だったオープン戦については「よくないところの方が目立っていたが、マウンドの傾斜ぶり、ボールも1個1個が違うので、その点をアジャストして、でき始めてはいたので、最終的によかったんじゃないかと思います。打てなくても、抑えられなくてもイライラしたことはありません。」
熱狂するメディアに対しても「とくに何も感じてません。僕自身、昔から周りに対して思うことは何もない。今も過剰に反応してるかなと思ってます。」
といたって淡々とクールに語っている。
伝家の宝刀のフォークは『隠し玉』として使った
また、伝家の宝刀のフォークについては「抜く感覚と引っ掛ける感覚の両方を持っていなくちゃいけないのに、そのバランスが崩れている」と感じて、オープン戦では『隠し玉』として使わなかった。
これを短期間に見事に調整して実戦で解禁し、メジャーでも最速級の160キロを超える速球と悪魔級のフォークを決め球に三振の山を築いた、という。
このインタビュー記事を読むと、「デジタルネイティブ・オオタニ」の頭の良さ、戦略眼、メジャーリーグにスマートに溶け込んだその異文化適応能力の高さを感じる。
同時にその自己分析能力の高さと不動心、胆力、日本での片足を上げる打法を短期にメジャーのスピードに合わせてずり足に切りかえた自己調整、修正能力の高さ。それを本番で見事に成功させた実行力、決定力、結果力などのすべて備えた創造力(クリエイティブ)がうかがえる。
大谷翔平の衝撃は他競技にも 闘莉王も感銘「あんな選手見たことがない」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180417-00021929-theanswer-base
ベイブルース以来、過去1世紀近くにわたり、二刀流が存在しなかったというメジャーリーグ・ベースボールの歴史の中で、『小よく大を制する』日本武道の頂点。宮本武蔵の「2天流」を思わせる大谷の野球道の邁進がどこまで成功するかは今後のお楽しみである。
ところで、大谷がメジャーの伝統の1刀流を変えるかもしれないように、結局、1人の人間の創造力、チャレンジ精神、行動力が旧制度を変えるのである。
その点で大谷の活躍は「少子・趙高齢化・人口減少国家」の危機に瀕している「ガラパゴスジャパン」にも大きな教訓を与える。
『過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる』「今を変えなければ、未来は変わらない。」「危機(ピンチ)は好機(チャンス)である」との言葉がある。
「団塊の世代」と命名した堺屋太一氏(経済評論家)は「昭和戦後日本の成功は、規格大量生産を可能にする工業社会とそれを大量消費する中産階級を実現したこと」という。
しかし、その時代はとっくの昔に過ぎ去った。ところが団塊の世代が今や65以上歳以上の高齢者になり、人口の3割を占め「変わらない、変えられない日本旧制度社会」の岩盤世代、老害世代と化している。
今こそ従来の「モノづくり工業大国」から「創造的人づくり大国」へかわらなければ、日本の未来は開けてこない。モノの輸出よりも大谷選手のような創造的なスポーツマン、芸術家を世界に送り出すこと。大谷選手の「デジタルネイティブ」に『アナログ老害世代』はバトンタッチすべき時なのである。
そのためにはマスメディアが大騒ぎしている「森掛問題」を単に金の値引き問題1点に収れんさせることなく、国際的な視点から、いかに創造的な人間を育てていくか、1人1人の子供の個性を尊重しつつ、その才能を伸ばし発揮できる教育環境をつくり、それぞれの適職につくことが出来る教育、人づくりこそ求められているのだ。
大谷の才能を見込んで『2刀流」を周囲の反対を押し切ってやらせた栗山監督、マー君を送り出した野村監督のリーダーシップこそ、政治家、教育者、経営者ばかりでなく、上に立つものは見習うべきっであろう。
大谷の今後の挑戦にますます目が離せない。
関連記事
-
『オンライン現代史講座/『大日本帝国最後の日 (1945年8月15日米内海相の不退転の和平と海軍省・軍令部①『(1945年8月15日)をめぐる攻防・死闘 終戦和平か、徹底抗戦か⑨』
2014/11/17   …
-
★『オンライン/天才老人になる方法➄』「世界天才老人NO1・<エジソン(84)の秘密>とは』ー『発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功10ヵ条」★『 生涯の発明特許数1000以上。死の前日まで勉強、研究、努力 を続けた』
2014/07/16 &nbs …
-
知的巨人の百歳学(140)-『六十,七十/ボーっと生きてんじゃねーよ(炸裂!)」九十、百歳/天才老人の勉強法を見習え!』★『「日本経済の創始者」/「日本資本主義の父」渋沢栄一(91歳)』★『「論語とソロバン」の公益資本主義を実践、その哲学は「会社の用はわがものと思え。会社の金は人のものと思え」★『年をとっても楽隠居的な考えを起さず死ぬまで活動をやめない覚悟をもつ』
記事再録・2017/08/06/百歳生涯現役入門(177) 渋沢栄一1840年( …
-
世界が尊敬した日本人⑱ 1億の『インド・カースト』(不可触民)を救う仏教最高指導者・佐々井秀嶺師』★『インドに立つ碑・佐々井秀嶺師と山際素男先生」(増田政巳氏(編集者)』
世界が尊敬した日本人⑱ 1億のインド不可触民を救う仏教最高指導者・佐々井秀嶺 & …
-
百歳学入門(109)医師・塩谷信男(105歳)の超健康力―「正心調息法」で誰でも100歳まで生きられる
百歳学入門(109) 医師・塩谷信男(105歳)の超健康力―「正心調息法」で誰で …
-
『オンライン講座/百歳学入門(54)』★『玄米食提唱の東大教授・二木謙三(93歳)の長寿法『1日玄米、菜食、1食のみで、食はねば、人間は長生きする』★『二木謙三博士の健康十訓ー①食べること少なくし、噛むことを多くせよ。②怒ること少なくし、笑うことを多くせよ③言うこと少なくし、行うことを多くせよ④取ること少なくし、与えることを多くせよ⑤責めること少なくし、ほめることを多くせよ 』
2012/11/05 …
-
『 Z世代にためのス-ローライフの研究』★『元祖ス-ローライフの達人・仙人画家の熊谷守一(97歳)のゆっくり、ゆっくり、ゆっくり』★『小学校の時、先生はいつも「偉くなれ、偉くなれ」というので、「みんなが、偉くなったら、偉い人ばかりで困るのではないか」と内心思った』
仙人、超俗の画家として生前も人気の高かった熊谷は没後,評価はますますうなぎのぼり …
-
日本メルトダウン脱出法(763)「中国は将来、必ず崩壊していく 欲望が自らを蝕む原理」●「独自の世界観を流布し始めた中国 ジンバブエ大統領に授与された中国版「平和賞」が意味すること』(英FT紙)
日本メルトダウン脱出法(763) 韓日首脳会談:「韓国を見下す日本」と「日 …
-
『オンライン現代史講座/2・26事件の原因の1つは東北凶作による女性の身売りが激増』④『売られた娘たち ~東北凶作の中で!』★『東北の農村などでは人身売買の悪徳周旋屋が暗躍した」( 玉の井私娼解放運動に取組んだ南喜一の証言)
「東北の凶作悲話ー娘の身売二百名」 東北凶作は農民生活をどん底 …
-
人気リクエスト記事再録/百歳学入門(32)『世界ベストの画家・葛飾北斎(90)の不老長寿物語』★『『創造人間は長寿になる』→『生きることは日々新たなり、また新たなり』
百歳学入門(32) 『世界ベストの画家・葛飾北斎(90)の不老長寿物語』 &nb …
- PREV
- 世界/日本リーダーパワー史(901)米朝会談への参考記事再掲ー『1993、94年にかけての北朝鮮の寧辺核施設疑惑でIAEAの「特別査察」を拒否した北朝鮮がNPT(核拡散防止条約)を脱退したのがすべての始まり』★『米軍はF-117戦闘機で寧辺の「核施設」をピンポイント爆撃し、精密誘導爆弾で原子炉を破壊する作戦を立案した』
- NEXT
- 世界/日本リーダーパワー史(899)-『コミー前FBI長官の回顧録「A Higher Loyalty: Truth, Lies, and Leadership」(4/17刊行)が発売前から全米ベストセラーに』★『トランプはニューヨークのマフィアのボスの態度そっくりで、ボスへの忠誠心が組織の絶対の掟、最低の大統領だ!』★「解任好き」の大統領はロシア疑惑の特別検察官もクビにするのではないか」