『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』ー『北清事変後の北京議定書(1901)で各国の軍隊は相次いで引き上げたが、ロシアは満州に居座わり、さらに朝鮮に侵攻し軍事基地を築いたため、日本は日露開戦に踏み切った』①『ロシアの満洲撤兵問題の推移』
2016/12/21
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』
『北清事変後の北京議定書(1901)で各国の軍隊は
相次いで引き上げたが、ロシアは満州に居座わり、さらに朝鮮に侵攻し
軍事基地を築いたため、日本は日露開戦に踏み切った』①
『ロシアの満洲撤兵問題の推移』
以下は 谷寿夫『機密日露戦史』(原書房、1966年刊)の21-23P
露清条約
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2%E6%B8%85%E5%AF%86%E7%B4%84
http://www.c20.jp/1902/04mansy.html
北清事変に伴う講和談判は1901年(明治34)8月に入ってまとまり、各国軍隊は相次いで北清の地より撤退に着手した。
劉張両総督は、各国を速かに満洲から撤退させるため、日本政府に対し関係諸国と協議して満洲撤兵の時期方法などをロシアに連絡、協議することを懇請してきたので、日本政府は次のような勧告の回答を発した。
『この際、各国からこのような処置をとる時機としては不適当であり、清国の目下の急務は、速かに宮廷の帰還京を実行して各国の信任をつなぐに足るべき政府を組織し、若しくは治績を挙げることが必要であろう。
殊に満洲の施政には一段の注意を加え、その派遣文武官には十分適任者を簡抜の上、ロシアの撤兵を要求するならば、彼も拒絶し得なくなるであろう』
この間、清帝は、列国の助言によって露兵の満洲撤退を実行すべき旨の上諭を慶親王、李鴻章の両全権委員に下した。李鴻章はこれに基いて、露公使に交渉しようとしたが、露公使は、本間題は他国の容喙を許すべきでなく、且つ満洲協約案を無条件に承諾しない限りロシアはふたたび談判を開始しない、とうそぶく始末であった。
そこで小村公使は慶親王に、本間題に躁急手段をとることの危険を忠告し、あらかじめ日本と協議する必要を説いた。その後、李鴻章とロシア公使との問の交渉は進捗せず、その間に9月17日、最終議定書が調印され、小村は帰朝して外相に就任した。
就任後、小村外相は、直ちに西安朝廷および劉、張二総督に電報して「今後、露清間に本問題再起せんか、予め日本政府に照会の上決すること。日本は必ずや清国に幇助を与える」と勧告した。
十月五日、在北京露国公使は、いよいよ清国に対し、口頭で撤兵の提議をした。この報道を聞いた小村外相は、ただちに日置公使をして慶親王に「この処置は軽卒にしてはならない。必ずや日本政府に相談の上処置せられたい」と告げた。
慶親王もまた、わが厚意を謝し、いまだ応対を開始しない故いずれ審議の上、条約の立案をしたらは必ずこれを日本政府に内示することを確言したのである。
ところが、ロシアは、漸洲撤退の提議以外に、別に山海関、牛荘鉄道の還附に関する賠償金その他二、三の要求をした形跡があり、また露国公使の交渉要求ようやく急を告げ、李鴻章はもとより慶親王も、ややもすればこれに傾かんとする気配があった。
そこで小村は、日置代理公使をして重ねて慶親王にわが警告の趣旨を反覆説明させたところ、10月31日、慶親王は同代理公使に対し宮廷に報告前に協約の調印をすることはない、調印前に必ず日本政府に協議することを確約した。
なおロシアの要求については、その後変更があった諸点の外、従来通告しない諸案件をも内示したのであった。ロシア提議の大要は、大要次のようなものであることがわかった。
第三露清密約要旨(1901年10月)
一、 露は牛荘、山海関鉄道と共に満洲を還附すべし。但し清国政府は一切の他国人に該鉄道の保護を委すべからず
二、 露は本年内に盛京省より撤兵すべし
三、 露は次の二ヵ年内に漸次吉林、黒龍江省より撤兵すべし
四、 盛京将軍の統率に属する満洲軍隊は露国士官の指揮の下に訓練せらるべし、但し砲兵の編成を禁ず
五、 山海関、年並鉄道還附に関しては左の条件を附すること
ィ、該鉄道に関し露国の支払いたる費用を弁償すること
ロ、線路護衛のため外国兵を用いざること
ハ、外国技師を使用せざること
こ、新民庁以外及び遼河以東に線路を延長せざること
右の外,満洲における鉱山採掘権専有に関する露清銀行の要
求がある。その詳細は慶親王も、当時はまだ李鴻章より聞いていなかった。
小村は、このような露清銀行の要求は各国の有する条約上の権利を侵害するのみならず、これを約諾する結果、清国の主権を侵害することを説明して、清国政府の反省を促し、さらに劉、張二総督にも勧告して極力その防衛に努めた。
英国政府においても、露国の提案中鉄道に関する賠償、満洲鉱山採掘権の独占、清国軍隊の大砲使用禁止等に対しては、日本政府と所見を同じくし、清国政府の注意を喚起することとなった。
ところが、このとき李鴻章が突如病床に臥し、12月7日その病に倒れたので宮廷の還京までに満洲問題をまとめることを間宮に奏上し終って永眠したのである。
李鴻章の没後は、もっぱら慶親王が霹国公使との商議にあたることとなり、12月29日北京に帰った。わが新任の 内田康哉公使公使は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E5%BA%B7%E5%93%89
慶親王が帰京の当日これを王府に訪問し、小村と露国外相との間に交換された前述意見を内示、露国外相の与えた証言の各項を説示した上、
従来、親王の語ったところと多大の差異があると指摘して種々勧告を与えた。
次いで英国公使も親王を訪問して、この際、急いで露国の提案に同意するのは危険であると警告した。米国公使も慶親王に対し、清国の主権または他国の条約上の権利を侵害するような協商を結ぶべきでないと注意した。
越えて、12月9日、慶親王は内田公使の許に来訪、前約をふんで露同提出の協約およびこれに対し慶親王より提出する修正案を内示して、速かに日本政府の意見を伺いたいと要請した。小村は12月12日、内田公使に訓電し、慶親王に対して種々の助言を与えた。
内田公使はこの助言にあたり、詳細な説明と警告とを加え、なお質疑応答の結果、清国政府と露清銀行との間における鉱山その他の企業に関し、その譲与事項に重大な懸案があることを発見した。
そしてこの事項は、条約締結問題と複雑に絡み合って交渉の進行に大きな影響を及ぼした。
そもそも満洲問題が再起したとき、露国が撤兵条件に関連して満州における採鉱権の独占を要求したことは、かつて慶親王がわが日置代理公使に語ったところによって疑いないことであり、当時、小村は直ちにこれに対し防御の手段をとったが、その後、慶親王より損示した協約案にはこれに関し何等の裁定がなかった。
そのため、小村は、協約以外に別に条項があることを疑がい、親王の注意を促していた。内田公使の12月14日、慶親王との会見において、前述のようにこの点に関する厳しい勧告と綿密な質疑を重ねるにおよんで、慶親王は露清銀行に対し、ある条件の下にこれに関する優先権を与える契約を同銀行支配人ポロチロフとの間に商議中であることを告白した。
当時、ロシアの満州への侵攻態度は、いたくわが国民を刺戟し、玄洋社や国民の多くは対露交渉で強硬姿勢をとる世論が高まっていた。特に国論鼓舞の中堅だった国民同盟会
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E5%90%8C%E7%9B%9F%E4%BC%9A
は、檄を四方に飛ばして当局有志の支援、鼓舞する運動をつづけ、三十五年に入ってからは
強硬意見書を小村外相に突き付けていた。
しかし、東アジアの前途を危惧して、対露の方策を立案することにおいては小村外相の先憂後楽は、国民同盟会以上であった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E9%9C%B2%E5%90%8C%E5%BF%97%E4%BC%9A
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